2024年 | プレスリリース・研究成果
微小水流が新たなエネルギー源に 注目材料グラフェンと水流を活用した環境発電システムの可能性
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科 電子工学専攻
准教授 岡田健
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- ナノ材料であるグラフェン(注1)上を流れる水による発電現象において、水の流動状態と発電量の相関を解析しました。
- マイクロ流路(注2)を用いた実験と数値シミュレーションの解析により、流れが不規則な状態から発達し、層流(注3)に遷移する過程で発電量が最大化することを明らかにしました。
- 雨滴、河川、水道管内など生活環境中の微小な水流を活用した環境発電への展開が期待されます。
【概要】
世界的なエネルギー需要の増加に伴い、身近な環境からエネルギーを収集する技術、すなわち環境発電(エネルギーハーベスティング)の技術開発が望まれています。
東北大学大学院工学研究科の岡田健准教授と同大学流体科学研究所の小宮敦樹教授、名古屋工業大学の種村眞幸名誉教授と本田光裕准教授、大阪大学大学院工学研究科の山下一郎招へい教授らの研究グループは、グラフェン上を流れる微小な水流による発電現象(注4)に着目し、実験と数値シミュレーションを通じて、発電に適した水流の状態を明らかにしました。この成果は、生活環境中に数多く存在する微小な水流を活用できる発電デバイスの最適な設置場所を示す指針となり、これにより効率的な環境発電システムの実現が期待されます。
本研究成果は、2024年10月28日に米国物理学協会が発行する科学学術雑誌Applied Physics Lettersにオンライン掲載されました。
図1. マイクロ流路の模式図。
【用語解説】
注1. グラフェン
ハチの巣状につながった炭素原子1層で構成される炭素同素体である二次元ナノ材料。次世代電子デバイスを含む様々な分野で研究が行われている材料。
注2. マイクロ流路
ガラスやプラスチック、シリコーン材料製の微細な構造を持つ流路。医療や半導体分野などで用いられる。
注3. 層流
流動の状態を示す。流路の中を流れる流体が流れの方向に向かって規則正しく流れる状態をいう。
注4. グラフェン上を流れる微小な水流による発電現象
この発電現象には様々な理論やメカニズム案が提案されているが、いずれも限定的な条件でのみ成立するものであり詳細は解明されていない。
【論文情報】
タイトル:Investigating the Correlation between Flow Dynamics and Flow-induced Voltage Generation
著者:Hikaru Takeda, Naoya Iwamoto, Mitsuhiro Honda, Masaki Tanemura, Ichiro Yamashita, Atsuki Komiya, and Takeru Okada*
*責任著者:東北大学 大学院工学研究科 電子工学専攻 准教授 岡田健
掲載誌:Applied Physics Letters 125, 184101 (2024)
DOI:10.1063/5.0230115
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
准教授 岡田健(おかだたける)
TEL: 022-795-7122
Email: takeru.okada*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤みどり(ぬまざわみどり)
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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