2024年 | プレスリリース・研究成果
小惑星リュウグウの砂つぶに発見された塩の結晶 ―太陽系の海洋天体とのつながりを知る新たな手がかり―
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科地学専攻
助教 松本 恵(まつもと めぐみ)
東北大学研究者紹介
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- リュウグウの砂つぶを電子顕微鏡などの分析を駆使して観察した結果、ナトリウム炭酸塩、岩塩、硫酸塩を含む塩の結晶が発見されました。
- ナトリウム炭酸塩や岩塩は、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンセラダスなど内部に海をもつ天体の表層にも、海の成分の析出物として見つかっています。塩の結晶はリュウグウとこれらの海洋天体の水の成分や進化を比較できる新しい手がかりになると期待されます。
-
塩結晶はリュウグウの母天体を流れた塩水が蒸発したか凍結した際に成長したと考えられます。現在のリュウグウは液体で満たされておらず、どのように母天体から液体が失われたのかこれまで謎でした。塩の結晶は、液体の水が消えていった道筋を示した初めての証拠でもあります。
【概要】
京都大学白眉センターの松本特定助教らは日本の探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウの砂つぶから、微小な塩の結晶を発見しました。これらはリュウグウの母体となる天体を満たした塩水が蒸発や凍結によって失われた時に析出した鉱物です。同じく塩類が見つかっているエンセラダスなどの海洋天体とリュウグウの水の環境とを比較する研究につながります。
図 1:リュウグウの砂表面で見られたナトリウム炭酸塩脈(青色)の擬似カラー電子顕微鏡画像。
【論文情報】
タイトル:Sodium carbonates on Ryugu as evidence of highly saline water in the outer Solar System.(太陽系の外側領域で⾼濃度の塩⽔が⽣まれた証拠を⽰すリュウグウのナトリウム炭酸塩)
著者: Toru Matsumoto1,2*, Takaaki Noguchi2, Akira Miyake2, Yohei Igami2, Megumi Matsumoto3, Toru Yada4, Masayuki Uesugi5, Masahiro Yasutake5, Kentaro Uesugi5, Akihisa Takeuchi5, Hayato Yuzawa6, Takuji Ohigashi7, Tohru Araki6.
掲載誌:Nature Astronomy
DOI:10.1038/s41550-024-02418-1
*所属機関一覧については、論文または下記のプレスリリース本文をご覧ください。
*「はやぶさ2初期分析チーム」の【石の物質分析チーム】は
理学研究科の中村智樹教授がチームリーダーを担当されています。
既出の関連プレスリリースについてはこちらをご覧ください。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科地学専攻
助教 松本 恵(まつもと めぐみ)
電話: 022-795-5789
Email: m_matsumoto*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科 広報・アウトリーチ支援室
電話: 022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)