2025年 | プレスリリース・研究成果
太陽系の「石のタイムカプセル」の"模様"を数値計算で再現!〜小惑星や隕石に含まれる不思議な形をした鉱物の結晶成長過程の解明へ〜
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科地学専攻
教授 中村 智樹(なかむら ともき)
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 太陽系の「石のタイムカプセル」であるコンドリュールの特異な"模様"を、世界で初めて数値シミュレーションによって再現した。
- 本研究成果は、初期太陽系における物質進化過程や惑星形成過程の解明に繋がることが期待できる。
【概要】
名古屋市立大学 三浦均准教授、東北大学 中村智樹教授、森田朋代大学院生、渡邉華奈大学院生、中国科学院・立命館大学 土`山明教授、北海道大学 木村勇気教授、宇宙航空研究開発機構 小山千尋研究開発員らの共同研究グループは、小惑星や彗星、隕石などの地球外物質に含まれるミリメートルサイズの球状粒子「コンドリュール」が溶融状態から急冷凝固する過程の数値シミュレーションを行い、特異な形の鉱物「棒状カンラン石」の結晶成長過程を世界で初めて理論的に再現しました。本研究成果により、今後、国際宇宙ステーションにおける微小重力環境下でのコンドリュール再現実験と合わせて、初期太陽系における物質進化過程や惑星形成過程の理解が飛躍的に進むことが期待されます。
本研究成果はScienceの姉妹誌である「Science Advances」(令和7年5月24日付)に掲載されます。

図1:(a)コンドリュールに含まれる棒状カンラン石。白い部分がカンラン石の結晶である。(b)棒状カンラン石の模式図。コンドリュール周囲を取り巻くリムと、その内部にほぼ平行に並ぶ多数のバーで特徴付けられる。リムとバーは別々の結晶ではなく、単一の結晶である。(c)数値シミュレーションによって再現された棒状カンラン石に類似した結晶成長パターン(模様)。
【論文情報】
タイトル:Decoding the formation of barred olivine chondrules: Realization of numerical replication
著者: 三浦 均1*、森田 朋代2、中村 智樹2*、渡邉 華奈2、土`山 明3、4、木村 勇気5、小山 千尋6
所属 1) 名古屋市立大学 大学院理学研究科、2) 東北大学 大学院理学研究科、3) 中国科学院広州地
球科学研究所、4) 立命館大学 総合科学技術研究機構、5) 北海道大学 低温科学研究所、6) 宇宙航
空研究開発機構 有人宇宙技術部門
(*Corresponding author)
掲載誌:Science Advances
DOI:10.1126/sciadv.adw1187
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科地学専攻
教授 中村 智樹(なかむら ともき)
TEL:022-795-6651
Email:tomoki.nakamura.a8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)