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気候変動により"想定最大"が変わる ─将来、線状降水帯がもたらす最大クラスの雨とは─

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 土木工学専攻
助教 平賀優介
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【発表のポイント】

  • スーパーコンピュータAOBA(注1を用いて、気象モデルによる降雨の最大化手法と疑似温暖化手法を組み合わせることにより、線状降水帯(注2がもたらす「最大クラス」の雨を推定することに成功しました。
  • 気候変動によって、現在「最大クラス」とされる大雨が、将来の気候ではさらに激しくなり、より頻繁に発生する可能性があることを明らかにしました。
  • 本成果は、ハザードマップ・治水計画の見直しや、防災対策・インフラの更新に活用されることが期待されます。

【概要】

近年、大雨の頻発と激甚化により、全国各地で深刻な被害が生じており、その対策は喫緊の課題となっています。

東北大学大学院工学研究科の平賀優介助教の研究チームは、数値気象シミュレーション手法を用いて、線状降水帯がもたらす想定最大規模の雨を推定しました。さらに、同チームが開発した独自の手法により、気候変動の影響で、現在「最大クラス」とされる大雨が、将来さらに激化し、頻度も増す可能性があることを明らかにしました。

本成果は、気候変動の影響を踏まえた「想定最大規模降雨」の推定や、現在の治水安全度の見直しに向けた議論の出発点となり、ハザードマップ・治水計画の再検討、防災対策・インフラの更新へとつながると期待されます。

本成果は、6月21日付で水文学(すいもんがく)の専門誌Journal of Hydrologyに掲載されました。

図1. 各気候における想定最大規模降雨(山形県赤川流域)。山形県赤川流域の24時間積算降水量:現在気候346.6mm、2050年代348.8mm、2090年代457.1mm

【用語解説】

注1. スーパーコンピュータAOBA:東北大学サイバーサイエンスセンターが2020年10月から運用しているベクトル型スーパーコンピュータ。共同利用・共同研究拠点の設備として学内外の多くの研究者に利用されている。
https://www.cc.tohoku.ac.jp/service/supercomputer/

注2. 線状降水帯:次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、長さ50~300km程度、幅20~50km程度の線状に伸びる強い降水域。

【論文情報】

タイトル:Climate Change Effects on Probable Maximum Precipitation (PMP) of Mesoscale Convective Systems: Model-based Estimation and Large Ensemble-based Frequency Analysis
著者:Yusuke Hiraga*, Satoshi Watanabe, Takeshi Yamashita, Hiroyuki Takizawa
*責任著者:東北大学工学研究科土木工学専攻 助教 平賀優介
掲載誌:Journal of Hydrology
DOI:10.1016/j.jhydrol.2025.133724

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科土木工学専攻
助教 平賀優介
TEL: 022-795-5007
Email: yusuke.hiraga.c3*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学工学研究科・工学部
情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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