2025年 | プレスリリース・研究成果
細胞たちの個性が、さなぎの大変身をスピードアップ
【本学研究者情報】
〇【研究開始当時】
電気通信研究所 准教授 加納剛史
電気通信研究所 特任助教 脇田大輝
生命科学研究科 助教 梅津大輝
【発表のポイント】
- 昆虫のさなぎの中で体のつくりが大きく変わるとき、筋肉のかけら(筋断片)がどのように動き、周りの細胞の「個性」がどのように関わるのかを解明
- 細胞の大きさや動き方といった「個性」が細胞の群れ全体に与えるメリットは不明だったが、生物実験とシミュレーションを組み合わせることで、細胞の個性が「筋断片を散らしながら」「安定した網目パターンにする」という2つの工程を速やかに両立させることを示した
- マルチタスクを効率よく行う「個性のあるロボット集団」の設計への応用に期待
【概要】
東京大学大学院理学系研究科の脇田大輝特任研究員(兼・日本学術振興会特別研究員-PD)、東北大学電気通信研究所(兼・大学院工学研究科)修士課程(※研究当時)の山地聡史さん、大阪大学大学院理学研究科の梅津大輝講師、公立はこだて未来大学システム情報科学部の加納剛史教授らの研究グループは、昆虫のさなぎの中で体のつくりが大きく変わるとき、細胞に「個性」があることで細胞の群れ全体の働きがよくなり、「筋肉の断片を散らしながら」「安定した網目パターンにする」という2つの工程が速やかに両立することをシミュレーション※1により示しました(図1)。
私たちの体はさまざまな種類の細胞でできており、同じ種類の細胞にも違いがあります。しかし、そうした細胞の「個性」が集団の中でどのように働くのかは、よくわかっていませんでした。
研究グループは、ハエのさなぎを題材に、筋肉がかけら(断片)になって網目パターンへと落ち着く過程を観察した結果、周りの細胞の大きさや動き方に、「個性」があることを確認しました。さらにシミュレーションにより、「個性」の有無を変えながらその役割を調べました。この発見は、個性のあるロボット集団にマルチタスクを効率よく達成させる、といった工学応用へのヒントになります。
この研究成果は、米国科学誌「PLOS Computational Biology」に、8月29日(金)午前3時(日本時間)に公開されました。

図1細胞の「個性」が変態の2つのステップを加速
【用語解説】
※1 シミュレーション
あるルールに従って、現象をコンピュータ上で再現すること。「もしこうなら?」を簡単に試すことができる。そのルールは数式の形で表現され、数理モデルと呼ばれる。
【論文情報】
タイトル:"Dual-purpose dynamics emerge from a heterogeneous cell population in Drosophila metamorphosis"
著者名:Daiki Wakita, Satoshi Yamaji, Daiki Umetsu and Takeshi Kano
掲載誌:PLOS Computational Biology
DOI:10.1371/journal.pcbi.1013331
問い合わせ先
東北大学電気通信研究所 総務係
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