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アルミニウム合金の腐食の起点を 特定するための新手法を開発 -高耐食アルミニウム部材の設計指針の構築に貢献-

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科知能デバイス材料学専攻 助教 西本昌史
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【発表のポイント】

  • 塩化ナトリウム水溶液中でのアルミニウム合金の腐食に関してpHの緩衝作用(注1とリアルタイム光学顕微鏡観察により、発生する孔食(注2の起点を特定するための新手法を開発しました。
  • pHの緩衝作用によりアルミニウム合金表面の金属間化合物(注3周囲の変色と腐食生成物の沈殿を抑制することで、孔食発生部位を判別できます。
  • 本手法により高耐食アルミニウム合金の開発を促進することが期待されます。

【概要】

アルミニウム(Al)合金は軽量でリサイクル性に優れることから、自動車などの輸送機器に広く用いられています。近年、電動化の進展により車体が重くなる傾向がある自動車では、軽量なAl合金の利用拡大が期待されています。一方で、使用範囲が広がるほど、さまざまな環境下で長く使える「錆びにくさ(耐食性)」の向上が欠かせません。しかし、Al合金は微細組織が複雑なため、腐食の起点を特定することが困難でした。

東北大学大学院工学研究科の竹内開人大学院生、西本昌史助教、武藤泉教授は、pHの変化を緩和する作用(緩衝作用)をもつ塩化ナトリウム水溶液中で、Al合金表面を光学顕微鏡によりリアルタイムに観察し、孔食の起点を特定する手法を開発しました。この方法では、pHの緩衝作用によって金属間化合物粒子の変色や腐食生成物の堆積を防ぎ、孔食が発生した部分を見分けることができます。この手法を用いて、ダイカスト(注4用Al合金ADC12(Al-12%Si-2%Cu)における孔食の起点を正確に特定し、その初期進展の様子を明らかにすることに成功しました。

本成果は、2026年1月20日(現地時間)に電気化学に関する学術誌Journal of The Electrochemical Societyのオンライン版で公開されました。

図1. (a)塩化ナトリウム水溶液(pHの緩衝作用無し)中でのAl合金表面の光学顕微鏡写真。時間の経過とともに金属間化合物粒子が変色し、腐食生成物が堆積する様子が示されている。(b)塩化ナトリウムを含むホウ酸-四ホウ酸ナトリウム緩衝液(pHの緩衝作用あり)中でのAl合金表面の光学顕微鏡写真。金属間化合物粒子の変色と腐食生成物の堆積が抑制され、孔食の発生した部分が明瞭に観察されている。

【用語解説】

注1. 緩衝作用
溶液のpHを一定に維持しようとする作用。

注2. 孔食
塩化物イオン(Cl)などの侵食性化学種の作用により、金属表面に局部的な電池ができ、電気化学反応で孔状の小さな腐食が生じる現象。

注3. 金属間化合物
二種類以上の金属元素が特定の割合で結合して形成される化合物。

注4. ダイカスト
溶けた金属を金型に高速・高圧で注入し、複雑な形状の製品を短時間で大量生産する鋳造技術。

【論文情報】

タイトル:Identification of Submicron-Sized Sites Causing Localized Corrosion Initiation and Growth in Die-Cast Al-Si-Cu Alloy
著者:Kaito Takeuchi*1, Masashi Nishimoto*2, Izumi Muto
責任著者:*1東北大学大学院工学研究科 大学院生 竹内 開人
     *2東北大学大学院工学研究科 助教 西本 昌史
掲載誌:Journal of The Electrochemical Society
DOI:10.1149/1945-7111/ae3647

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
助教 西本 昌史
TEL: 022-795-7299
Email: masashi.nishimoto.b8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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