2026年 | プレスリリース・研究成果
木星を取り囲むプラズマリングの歪みを測定 -従来手法の制約を克服する新しい観測手法を確立-
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科附属惑星プラズマ・大気研究センター 大学院生 佐藤晋之祐
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 木星探査機Juno(注1)のデータを解析することで、木星を取り囲むプラズマ(注2)リングの歪みを測定しました。
- 従来手法の制約(注3)を克服する新しい観測手法を確立し、プラズマリングの歪みの方向を正確に決定しました。
- 本研究の成果は、生命存在可能性が議論されている氷衛星の環境を理解することにつながります。
【概要】
木星の衛星イオ(注4)は、太陽系内で最も火山活動が活発な天体です。イオの大気は二酸化硫黄を主成分とする火山性ガスから成り、宇宙空間へ流出し、イオの公転軌道に沿って濃いリング状の「プラズマトーラス」を形成します。
東北大学大学院理学研究科の佐藤晋之祐 大学院生、土屋史紀 教授を筆頭とするエクス・マルセイユ大学、慶應大学、東北工業大学などの国際研究グループは、NASAが運用する木星探査機「Juno」によって撮影された木星紫外線オーロラの画像データを用いて、木星を取り囲む濃いプラズマトーラスの歪んだ構造を詳細に観測しました。プラズマトーラスの歪みはこれまでにも地上望遠鏡を用いて研究されていましたが、地球と木星の位置関係が制約となり、地上からはリングの一部しか調べることができません。本研究では、木星を周回する探査機を使用することでリングを360度カバーし、歪んだ構造を正確に見出すことに成功しました。本研究成果はプラズマトーラスに関する新たな知見をもたらすだけでなく、プラズマトーラスの内部を公転する氷衛星のプラズマ環境の理解に繋がるものです。
本研究成果は、2026年2月9日に国際科学誌The Planetary Science Journalに公開されました。
図1. Juno-UVS装置によって撮影された木星の南半球における紫外線オーロラの様子。イオの「オーロラフットプリント」は「磁気フットプリント(=衛星の真の位置を表す)」に対して経度方向にずれており、その経度差を「リード角」と呼ぶ。本研究では、このリード角を測定した。
【用語解説】
注1. Juno:NASAが2011年に打ち上げ、2016年から木星を周回している探査機。紫外線分光装置「Juno-UVS」を含む9つの観測装置が搭載されています。
注2. プラズマ:原子や分子がイオンと電子に電離した状態のこと。
注3. 制約:木星は地球より外側を公転しているため、地上の望遠鏡を用いた通常の観測では木星系の夜側を観測することはできません。
注4. 衛星イオ:ガリレオ衛星と呼ばれる4つの木星衛星のひとつで、最も内側を公転する衛星。木星および他のガリレオ衛星の重力による潮汐によって、衛星の内部が加熱され、多数の活火山が存在しています。
【論文情報】
タイトル:Dawn-Dusk Asymmetry of the Io Plasma Torus Derived from Io's Auroral Footprints Observed by Juno-UVS
著者:Shinnosuke Satoh*, Vincent Hue, Fuminori Tsuchiya, Shotaro Sakai, Yasumasa Kasaba, Hajime Kita, Masato Kagitani, Alessandro Moirano, Bertrand Bonfond, Hiroaki Misawa, and Rikuto Yasuda
*責任著者 東北大学大学院理学研究科附属惑星プラズマ・大気研究センター大学院生 佐藤晋之祐
掲載誌:The Planetary Science Journal
DOI:10.3847/PSJ/ae3678
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科
附属惑星プラズマ・大気研究センター
大学院生 佐藤 晋之祐(さとう しんのすけ)
Email: shinnosuke.satoh*pparc.gp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学大学院理学研究科
附属惑星プラズマ・大気研究センター
教授 土屋 史紀(つちや ふみのり)
TEL:022-795-3499
Email:tsuchiya.f*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)