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タンパク質の動きを捉える新しい試料導入システムを開発 -テープ搬送による試料導入で試料消費量を低減-

【本学研究者情報】

〇東北大学多元物質科学研究所 教授 南後恵理子
研究室ウェブサイト

【概要】

理化学研究所(理研)放射光科学研究センタービームライン開発チームの姜正敏研究員、同SACLAビームライン基盤グループの矢橋牧名グループディレクター、高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室の登野健介チームリーダー、東北大学多元物質科学研究所の南後恵理子教授、京都大学大学院医学研究科の岩田想教授らの国際共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA注1」において、タンパク質の動きを捉える連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)注2のための試料を導入する新たなシステムを開発しました。

本研究成果により、わずかな量の試料で時分割の構造解析が可能となり、タンパク質の動きが原子レベルで明らかになることが期待されます。

生体の重要な構成成分であるタンパク質が機能する際、巧妙にその構造を変えて機能を発揮していることが知られています。その動きを動画のように可視化する技術として、XFELを用いた時分割連続フェムト秒結晶構造解析(時分割SFX)注2が利用されてきました。

今回、国際共同研究グループは、SACLAにおいて、結晶を含んだ微小液滴をテープの上に滴下し、ベルトコンベアのようにX線レーザーの照射領域に運ぶ手法を開発しました。結晶を含んだ微小液滴に反応分子などを含む別の微小液滴を重ねて滴下することにより、タンパク質が反応する過程を追跡する実験も可能となりました。

本研究は、科学雑誌『Journal of Applied Crystallography』(2月8日付)に掲載されました。

図1. テープ搬送による試料導入システムでタンパク質の動的構造解析をわずかな試料で実現

【用語解説】

注1. SACLA
理研と高輝度光科学研究センター(JASRI)が共同で建設した日本初のX線自由電子レーザー(XFEL:X-ray Free-Electron Laser)施設。加速器の中で電子の固まりを正確な制御の下で一斉に振動させ、その電子の固まりからX線レーザーを発生させるX線発生装置。2006年度から5年間の計画で建設・整備を進めた国家基幹技術の一つで2011年3月に完成し、SPring-8 Angstrom Compact free-electron LAserの頭文字を取ってSACLA(サクラ)と命名された。2011年6月に最初のX線レーザーを発振、2012年3月から供用運転が開始され、利用実験が始まった。大きさが諸外国の同様の施設と比べて数分の1と、コンパクトであるにもかかわらず、0.1ナノメートル以下という世界最短波長クラスのレーザーの生成能力を有している。詳細はSACLAのウェブサイト(https://xfel.riken.jp/)を参照。

注2. 連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)、時分割連続フェムト秒結晶構造解析(時分割SFX)
連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)は、多数の微小結晶を含む液体などをインジェクターと呼ばれる装置から連続的に導入し、フェムト秒のX線レーザーパルスを照射して結晶構造を解析する手法。配向(配列方向)の異なる多数の微小結晶からの回折データを連続的に収集する。さらに、光照射(光励起型)、温度上昇、基質([3]参照)混合(二液混合型)などで反応が開始する時間を変えながら測定することで、タンパク質の構造変化をフェムト秒~秒スケールで連続追跡し、反応過程を"動画"のように可視化できる手法を時分割SFXという。SFXは、Serial Femtosecond Crystallographyの略。

【論文情報】

タイトル:Compact Tape-Driven Sample Delivery System for Serial Femtosecond Crystallography
著者:Jungmin Kang, Yoshiaki Shimazu, Fangjia Luo, Ayumi Yamashita, Tomoyuki Tanaka, Yuichi Inubushi, Kensuke Tono, Nipawan Nuemket, Allen M. Orville, So Iwata, Eriko Nango, and Makina Yabashi
掲載誌:Journal of Applied Crystallography
DOI:10.1107/S1600576726000063

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
教授 南後恵理子
Email: eriko.nango.c4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
広報情報室
TEL: 022-217-5198
Email: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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