2026年 | プレスリリース・研究成果
白金ナノ粒子の3次元原子構造解析に成功 ―不均一触媒における発現機構の理解と新たな設計指針の構築―
【本学研究者情報】
〇材料科学高等研究所 教授 幾原雄一
研究室ウェブサイト
〇金属材料研究所 准教授 川原一晃
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 新規開発した3次元電子顕微鏡法により、酸化物基板に担持された白金ナノ触媒の3次元構造の再構成に成功した。
- 統計的解析手法および理論計算との融合により、ナノ粒子表面の動的な原子サイトに生じた負電荷の偏りが触媒活性に大きく寄与していることを初めて明らかにした。
- 3次元電子顕微鏡法と理論計算を融合することにより、触媒活性サイトが明らかになり、高性能な触媒開発を大きく加速することが期待される。
【概要】
東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構の石川 亮 特任准教授、窪田 陸人 大学院生(研究当時)、川原 一晃 助教(研究当時、現:東北大学金属材料研究所 准教授)、二塚 俊洋 特任研究員、幾原 雄一 東京大学特別教授(兼:東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR) 教授)、柴田 直哉 教授による研究グループは、新規に開発した3次元電子顕微鏡法と理論計算を用いることにより、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)基板に担持(注1)された白金ナノ粒子の3次元原子構造とその電子状態の解明に成功しました。SrTiO3基板に担持された白金ナノ粒子は、水分解やさまざまな化学反応を促進する不均一触媒(注2)として非常に重要な材料です。触媒活性の本質的な理解のためには、触媒反応が進行する活性サイトの原子構造と電荷分布の関係を明らかにすることが極めて重要です。本研究では、原子分解能電子顕微鏡の像強度を定量的・統計的に解析することにより、酸化物基板に担持された白金ナノ粒子の3次元原子構造および動的構造を明らかにしました。さらに、得られた実験結果に基づいた理論計算を行うことにより、配位数が小さく不安定な原子サイトに負の電荷が偏っており、そこが活性サイトであることも明らかにしました。本成果は、触媒設計に新たな指針を与え、高性能な触媒開発を加速することが期待されます。
本研究成果は2026年2月27日(英国時間)に英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
原子分解能電子顕微鏡像の統計的解析に基づく3次元原子構造および電荷密度分布
【用語解説】
(注1)担持
基板となる材料にナノ粒子などを成長させる(載せる)こと。
(注2)不均一触媒
反応物質とは異なる相を用いた触媒のこと。特に、固体を用いた触媒を指すことが多い。工業プロセスや排ガス処理などに多く用いられている。
【論文情報】
雑誌名:Nature Communications
題 名:3D dynamic structure of a Pt nanoparticle on SrTiO3 (001) during in-situ heating atomic-resolution ADF STEM imaging
著者名:Ryo Ishikawa, Rikuto Kubota, Kazuaki Kawahara, Toshihiro Futazuka, Yuichi Ikuhara, Naoya Shibata
DOI:10.1038/s41467-026-69767-5
問い合わせ先
東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR) 広報戦略室
Tel:022-217-6146
E-mail:aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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