2026年 | プレスリリース・研究成果
膨張と収縮を繰り返す磁気ドメイン状態を発見 ―磁界周波数コンバータや磁気周波数逓倍器など新しい磁気デバイス応用を発想―
【本学研究者情報】
〇電気通信研究所 准教授 後藤太一
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 迷路のような磁気ドメイン(磁区)(注1)をした磁性材料に、強いパルス磁場を1つ加えると、磁気ドメインが膨張と収縮を、複数回繰り返すことが分かりました。
- 膨張と収縮の繰り返し周波数は、加える磁界の大きさやパルスの幅によって変化することも分かりました。
- 本発見により、電子回路で実現されているデバイスを、磁気で実現可能な新しい磁気デバイスの提案が行われました。
【概要】
迷路のような磁気ドメインをもつ磁性材料に、強い磁場パルスを加えると、磁性材料全体の磁化が振動する現象が観測されていましたが、そのメカニズムが分かっていませんでした。
東北大学、豊橋技術科学大学、信越化学工業株式会社、トルコ・コチ大学による国際共同研究グループは、大規模3次元マイクロ磁気シミュレーション(注2)によって、迷路のような磁気ドメインをもつ磁性材料の磁場パルスに対する動的応答を計算しました。この結果、磁気ドメインが膨張と収縮を繰り返していることが分かりました。さらに、その繰り返し周波数は、入力した磁気パルスの強さや幅によって、制御できることも分かりました。この理解を発展させ、磁気パルスの強さを周波数に変換する「磁界周波数コンバータ」や、入力した磁界パルスの周波数の整数倍に出力磁場を変換する「磁気周波数逓倍器」といった新しい磁気デバイスを発想し、基本動作をシミュレーションで確認しました。
本成果は2月23日、応用物理分野の国際専門誌Japanese Journal of Applied Physicsに掲載されました。
図1. 迷路磁区を持つ鉄ガーネット膜モデルに磁界パルスを印加した際の磁気ドメインの時間変化をシミュレーションした。
【用語解説】
注1. 磁気ドメイン・磁区・磁壁:磁性材料において磁化の向きが同じ方向に揃った領域を磁気ドメイン(磁区)と呼び、異なる磁区同士の境界部分が磁壁となる。
注2. マイクロ磁気シミュレーション:磁性体内の磁化分布とその時間発展を数値計算で予測する手法。
【論文情報】
タイトル:Nonlinear gigahertz magnetization oscillations in iron garnet films with maze domains induced by strong magnetic pulses
著者:Takumi Koguchi, Hibiki Miyashita, Toshiaki Watanabe, Eri Negishi, Yuichi Nakamura, Mitsuteru Inoue, Kazushi Ishiyama, Mehmet C. Onbasli and Taichi Goto*
*責任著者:東北大学電気通信研究所 准教授 後藤太一
掲載誌: Japanese Journal of Applied Physics
DOI:10.35848/1347-4065/ae41fa
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学 電気通信研究所
准教授 後藤 太一
TEL: 022-217-5489
Email: taichi.goto.a6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学 電気通信研究所 総務係
TEL: 022-217-5420
Email: riec-somu*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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