2026年 | プレスリリース・研究成果
レンズ形状を変えずに焦点距離を変えるテラヘルツレンズ ―三次元バルクメタマテリアルで実現、6Gなどへの応用に期待―
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科ロボティクス専攻 教授 金森義明
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- シリコン微粒子を樹脂中に分散させた三次元バルクメタマテリアル(注1)を用い、レンズ形状を変えることなく焦点距離を制御できるテラヘルツ(注2)レンズを開発しました。
- シリコン粒子濃度を0〜25%の範囲で変えることで屈折率を調整し、焦点距離を約33mmから約24mmまで変えられることを確認しました。
- 第6世代移動通信システム(6G)(注3)をはじめ、非破壊検査、医療診断、セキュリティ検査などへの応用が期待されます。
【概要】
テラヘルツ波は次世代移動通信システム(6G)の候補周波数帯として注目されており、非破壊検査や医療診断などへの利用が期待されています。しかし、この周波数帯では利用できる光学材料が限られており、レンズなどの光学素子を設計する際の自由度が低いことが課題となっています。
東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻の金森義明教授らの研究グループは、シリコン微粒子を樹脂中に分散させた三次元バルクメタマテリアルを用いて、テラヘルツレンズを開発しました。
通常、レンズの焦点距離は形状によって決まりますが、本研究では材料設計によって屈折率を制御することで、レンズ形状を変えずに焦点距離を調整できることを実証しました。具体的には、シリコン粒子濃度を0〜25%の範囲で変えることで、焦点距離を約33mmから約24mmまで変えられることを確認しました。
本研究は、研究グループが進めてきた三次元バルクメタマテリアル研究を発展させ、光学素子としての応用可能性を実証した成果です。本研究成果は2026年3月13日に、科学誌Optics & Laser Technologyに掲載されました。
図1. 三次元バルクメタマテリアルによるテラヘルツレンズの概念図
(a) シリコン微粒子を透明樹脂中に分散させた三次元バルクメタマテリアルによるテラヘルツレンズの概念図。
(b) シリコン微粒子分散材料の有効媒質モデル。
【用語解説】
注1. メタマテリアル
制御対象とする電磁波の波長より小さな単位構造によって電磁波応答を設計した人工光学材料である。構造の形状や配置、材料の組み合わせを設計することで、自然界の物質では得られない電磁波特性(屈折率など)を実現できる。メタマテリアルには、金属微細構造の共振を利用するタイプのほか、本研究のように微粒子を三次元的に分散させた複合材料として構成される三次元バルクメタマテリアルがある。三次元バルクメタマテリアルでは材料の組成設計によって実効的な屈折率を制御できるため、設計に基づいた光学材料を人工的に実現することが可能である。
注2. テラヘルツ波
光波(赤外線)と電波(ミリ波)の中間にあたる帯域の電磁波で波長は約30μm(周波数10THz)から約3mm(周波数0.1THz)。赤外線のように検査・分析に用いる他、波長約10mm(30GHz)から約10cm(周波数3GHz)のマイクロ波を用いる現在の通信(5G)に続く次世代通信(6G)用の電磁波として期待されている。
注3. 第6世代移動通信システム(6G)
現行の携帯電話で使われている 4G、5Gに続く無線通信システム。2030年代の商用化が見込まれている。通信速度は5G の10 倍以上の毎秒 100ギガビット級(ギガは10億)が想定されている。高解像度の3D映像を触覚情報などと合わせてリアルタイムで送受信できるようになる。医療分野では遠隔での治療や診察、教育分野では臨場感のあるリモート授業が実現する。
【論文情報】
タイトル:Effective refractive index tuning in the terahertz range using silicon microparticle-dispersed lenses
著者:Shun Wakiuchi and Yoshiaki Kanamori*
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 教授 金森義明
掲載誌:Optics & Laser Technology
DOI:10.1016/j.optlastec.2026.115096
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
教授 金森義明
TEL:022-795-4893
Email: ykanamori*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科
情報広報室 担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

![]()
東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています