2026年 | プレスリリース・研究成果
細胞内小器官の熱伝導率を初めて定量化 ─センサより小さな領域の熱分析を可能にする技術を開発─
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科 ロボティクス専攻
准教授 猪股 直生
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- マイクロ温度センサアレイの温度データと蛍光観察の画像を組み合わせ、計算解析により熱の性質を定量化する技術を開発しました。
- センササイズより小さい対象の熱分析が可能になります。
- 細胞内小器官(オルガネラ)(注1)の熱伝導率を初めて実験的に評価しました。
- 細胞内で熱がどう伝わるかという未解明現象の解明につながることが期待されます。
【概要】
生物は外部環境に応じて身体の状態を柔軟に変化させます。細胞も同様に、外部環境に応じて熱物性を自発的に調整する機能を持つと考えられていますが、そのメカニズムはいまだ十分に解明されていません。
東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻の猪股直生准教授らは、透明なマイクロ温度センサアレイで得た実測データと、熱拡散方程式(注2)に基づく逆解析を組み合わせることで、センサより小さい細胞内のオルガネラ(核、ミトコンドリア、細胞質)の熱伝導率を評価することに成功しました。さらに外部環境温度を変えて調べた結果、熱伝導率が最大となる温度がオルガネラごとに異なることを明らかにしました。これは、オルガネラが細胞内の熱輸送においてそれぞれ異なる役割を担っている可能性を示すものです。
本成果は、2026年3月14日にセンサ・アクチュエータの新技術と応用を扱う専門誌 Sensors and Actuators Reportsで公開されました。
図1. 実測データと数理モデルを融合した分析技術の概要。マイクロ温度センサアレイで取得した温度情報と、蛍光観察で取得したオルガネラの位置情報を熱拡散方程式に組み込み、オルガネラの熱伝導率を推定する。
【用語解説】
注1. 熱拡散方程式:物体の内部で熱が時間とともにどのように広がるかを表す数理モデル。
注2. 細胞内小器官(オルガネラ):細胞内に存在する構造体で、それぞれが特定の役割を担う。核やミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体などがある。
【論文情報】
タイトル:Transparent Micro-Thermistor Array Enables Organelle-Resolved Thermal Conductivity Estimation in Living Cells
著者:Naoki Inomata *, Kaito Suzuki
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 准教授 猪股 直生
掲載誌:Sensors and Actuators Reports
DOI:10.1016/j.snr.2026.100461
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
准教授 猪股 直生
TEL: 022-795-4894
Email: inomata.n*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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