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同じ乳酸菌でも生存状態で働きが変わる -生菌と不活化菌の違いを解明-

【本学研究者情報】

〇大学院農学研究科動物食品機能学分野 教授 北澤春樹
大学院農学研究科動物食品機能学分野 准教授 西山啓太
大学院農学研究科動物食品機能学分野 大学院生 松本夏歩
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 生きた乳酸菌と腸細胞の同時培養を、マイクロ流体共培養デバイス(注 1により実現しました。これにより、生菌と不活化菌が腸細胞に与える影響を直接比較することが可能になりました。
  • 同じ乳酸菌でも、生菌は腸細胞の代謝を変化させ、不活化菌は免疫応答を活性化することを明らかにしました。
  • 本成果は、健康機能の目的に応じて乳酸菌を生菌と不活化菌として使い分ける新たな機能設計の可能性を示します。

【概要】

乳酸菌は、健康維持に役立つことが知られています。健康に有益な生きた微生物は「プロバイオティクス(注 2」と呼ばれ、近年では不活化した微生物やその成分である「ポストバイオティクス(注 3」も注目されています。しかし、生菌と不活化菌が腸に与える影響の違いは十分に理解されていません。

東北大学大学院農学研究科の松本夏歩大学院生、西山啓太准教授、北澤春樹教授、株式会社島津製作所の橋本豊之氏、株式会社伊藤園の辻川勇治氏らの共同研究チームは、乳酸菌Lactiplantibacillus plantarumに着目し、生菌と加熱処理した不活化菌で小腸上皮細胞(注 4への影響が大きく異なることを明らかにしました。

生菌は腸細胞の代謝を変化させる一方、不活化菌は免疫応答を活性化することが明らかになりました。本成果は、代謝改善や免疫機能調節といった目的に応じて、乳酸菌を生菌または不活化菌として使い分ける新たな視点を提示することができました。

本成果は、2026年3月31日に科学誌 iScienceにオンライン掲載されました。

図1. 本研究で用いたマイクロ流体共培養デバイスの写真とその模式図。経上皮電気抵抗を継時的に測定することにより、細胞のタイトジャンクションを維持したまま、細菌と共培養できていることを確認することができる。

【用語解説】

注1.マイクロ流体共培養デバイス:マイクロリットル単位のごく少量の液体の流れを精密に制御できる培養装置。細菌側の培地を循環させることで細菌の過剰な増殖を防ぐとともに、常に新鮮な培地を供給し、死細胞を除去することができる。

注2.プロバイオティクス:健康に有益な働きをもたらす生きた微生物のこと。

注3.ポストバイオティクス:不活化された微生物や、その構成成分・代謝産物など、生きていなくても健康効果をもたらす物質のこと。

注4.小腸上皮細胞:小腸の内側の表面を覆う細胞で、栄養の吸収や外部からの異物の侵入を防ぐ役割を担う。

【論文情報】

タイトル:Live and heat-treated Lactiplantibacillus plantarum induce distinct metabolic and immune responses in intestinal epithelial cells
著者:Kaho Matsumoto, Yuta Takada, Yoshiya Imamura, Hina Yoshida, Kazuhiro Sonomura, Mikako Takahashi, Nobuko Moritoki, Tomoko Shindo, Junya Yamamoto, Leonardo Albarracin, Wakako Ikeda-Ohtsubo, Masatoshi Hori, Julio Villena, Fu Namai, Yuji Tsujikawa, Toyoyuki Hashimoto, Keita Nishiyama, Haruki Kitazawa
松本夏歩、髙田悠太、今村圭哉、吉田飛菜、園村和弘、高橋実花子、盛一伸子、信藤知子、山本純也、レオナルドアルバラシン、大坪和香子、堀雅敏、フリオビジェナ、生井楓、辻川勇治、橋本豊之、西山啓太*、北澤春樹*
*責任著者
掲載誌:iScience
DOI:10.1016/j.isci.2026.115516

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院農学研究科
動物食品機能学分野
准教授 西山啓太
TEL: 022-757-4373
Email: keita.nishiyama.a6*tohoku.ac.jp(*は@に置き換えてください)

教授 北澤春樹
TEL: 022-757-4372
Email: haruki.kitazawa.c7*tohoku.ac.jp(*は@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科広報室
Email: agr-koho*tohoku.ac.jp(*は@に置き換えてください)

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