本文へ ナビゲーションへ
ここから本文です

広い温度域で動作する次世代固体冷媒を開発-従来の理論スケーリングを超える弾性熱量効果を発見-

【本学研究者情報】

〇学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部 助教 許勝
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • チタン(Ti)基超弾性合金において、−171 ℃から+129 ℃までの300 ℃にわたる極めて広い温度範囲での弾性熱量効果(注1)を実証しました。
  • 室温において約−10 ℃の断熱温度変化と高い冷却効率を達成しました。
  • エアコンや冷蔵庫に加え、宇宙分野においても、次世代の省エネルギー型・環境負荷低減型冷却技術への応用が期待されます。

【概要】

近年、エネルギー効率の向上と温室効果ガス排出削減に向け、固体材料を用いた次世代冷却技術が注目されています。中でも、力により生じる金属材料の状態変化(相変態)に伴う潜熱を利用する弾性熱量効果は、有望な冷却方式とされています。

東北大学学際科学フロンティア研究所の許勝助教らの研究グループは、Ti-Al-Cr系超弾性合金(注2)において、−171 ℃から+129 ℃(温度幅300 ℃)という極めて広い温度域での冷却応答を実証しました。この温度範囲は、従来のクラウジウス―クラペイロン関係(注3)に基づく予測を大きく上回るものであり、相変態熱力学の従来理解に新たな視点を与える成果です。さらに、単一材料で極低温から室温以上まで対応可能な高効率・低環境負荷型冷却技術の実現に道を開くものです。

本研究成果は、科学誌Nature Communicationsに2026年4月27日付で掲載されました。

図1. 本研究で使用したTi-Al-Cr超弾性合金(Y. Song, S. Xu et al. Nature 638, 965-971, 2025)

【用語解説】

注1. 弾性熱量効果
材料に力を加えて相変態を起こすことで温度が変化する現象。力を取り除くと温度が低下するなど、冷却への応用が可能となる。

注2. 超弾性
形状記憶合金において、大きな変形を加えても、力を除くと元の形状に戻る特性。ゴムのように見える挙動を金属で実現できる点が特徴。

注3. クラウジウス―クラペイロン関係
物質の相変態(固体から液体などの状態の変化)における温度と外力の関係を示す基本的な関係。材料の動作温度範囲を考える際の目安として用いられている。

【論文情報】

タイトル: Enhanced elastocaloric cooling beyond Clausius-Clapeyron limits
著者:Yuxin Song, Sheng Xu*, Toshihiro Omori, Takuro Kawasaki, Yoshihisa Ishikawa, Ryoji Kiyanagi, Ryosuke Kainuma
*責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 助教 許勝
掲載誌:Nature Communications
DOI: 10.1038/s41467-026-72172-7

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所
助教 許 勝(きょ しょう)
TEL: 022-795-7323
Email: xu.sheng.a8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所 企画部
波田野 悠夏
Email: fris-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs07 sdgs09 sdgs13

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています