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液体のように振る舞う金ナノ粒子!?〜表面分子の小さな変化が粒子集団を大きく操る〜

【本学研究者情報】

〇多元物質科学研究所 教授 蟹江澄志
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 水面上に配列した金ナノ粒子の集団が、温度や圧縮に応答して液体のように自在に並び変わる現象を見出しました。
  • 表面の有機分子が刺激に応答することで金ナノ粒子の見かけ上の形状を変化させ、それが集団構造の変化を駆動することを明らかにしました。
  • 本成果は、バイオ界面やマイクロ流体デバイスを指向した環境適応型ナノ粒子薄膜材料の設計指針になると期待されます。

【概要】

無機ナノ粒子が集まると、その配列の仕方によって光学的・磁気的特性が変化します。したがって、無機ナノ粒子の配列構造を自在に制御できれば、配列に起因した物性の制御にもつながります。

東北大学 多元物質科学研究所の佐藤梨奈 大学院生(研究当時: 同大学院環境科学研究科、現: 物質・材料研究機構 ICYS研究員)、同大学 国際放射光イノベーション・スマート研究センターの蟹江澄志教授らの研究チームは、金ナノ粒子表面に結合させた有機分子の温度や圧縮に応答したわずかな変化を観測し、それが粒子集団全体の並び方を変えるという、新たなナノ粒子配列メカニズムを明らかにしました。 本研究チームは、温度応答性分子を含む2種類の有機分子で表面を修飾した金ナノ粒子を空気/水界面に展開し、温度上昇や圧縮に伴って、島状、鎖状、網目状へと配列が柔軟に組み変わる液体様挙動を見出しました。さらに、表面の2種類の有機分子がナノ粒子上で自発的に再配置し、粒子形状に見かけ上の異方性(注1)を生むことで、集団全体の配列変化を駆動することを明らかにしました。

本成果は、分子レベルのごく小さな変化を起点として、ナノ粒子集団の配列を動的に制御できることを示したものであり、今後は外部環境に適応可能なスマート表面として、バイオ・医療分野やマイクロ流体デバイスへの応用が期待されます。

本研究成果は、2026年5月1日付(現地時間)で学術誌Journal of the American Chemical Societyに掲載されました。

図1. 金ナノ粒子表面での有機分子の再分布による粒子形状異方性の変化と 島状から網目状への粒子配列構造の変化。

【用語解説】

注1. 異方性:形や性質がすべての方向で同じではなく、特定の方向に違いまたは偏りをもつこと。

【論文情報】

タイトル: Temperature- and Pressure-Induced Ligand Anisotropy Drives Structural Reorganization of Dendronized Gold Nanoparticle Monolayers
著者: Rina Sato*, Joshua Reed, Emanuel Schneck*, Kiyoshi Kanie*
*責任著者:
東北大学多元物質科学研究所 大学院生 佐藤 梨奈
東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター 教授 蟹江 澄志
ダルムシュタット工科大学 教授 Emanuel Schneck
掲載誌: Journal of the American Chemical Society
DOI: 10.1021/jacs.5c22437

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所
大学院生 佐藤 梨奈(さとう りな)
TEL: 022-217-5615
Email: rina.sato.s5*dc.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学 国際放射光イノベーション・スマ―ト研究センター
教授 蟹江 澄志(かにえ きよし)
TEL: 022-217-5613
Email: kanie*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所 広報情報室
TEL: 022-217-5198
Email: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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