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6G通信に向けたテラヘルツ光スイッチを開発―単層シリコン基板で導波路とMEMSの一体化を世界初実証―

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 教授 金森 義明
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • テラヘルツ帯(注1)で動作するスイッチングデバイス(光スイッチ)を開発しました。
  • 従来の複雑な多層構造ではなく、単層シリコン基板上での作製に成功しました。
  • 消費電力3.6mWの低消費電力と高いスイッチ性能(消光比13.69dB)(注2)を実現しました。
  • 6G通信(注3)に向けたフォトニック集積回路の小型化・低電力化に貢献することが期待されます。

【概要】

スマートフォンやIoT機器の普及により通信量は年々増加しており、次世代の6G通信では、より高速・大容量のデータ通信を実現する新技術が求められています。その有力な候補として「テラヘルツ波」と呼ばれる高周波の電波が注目されており、これを効率よく扱う小型・省電力デバイスの開発が重要となっています。中でも、テラヘルツ波の通り道を切り替えやオン・オフの制御を行う光スイッチなどの動的変調デバイスの実現は不可欠です。

東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻の金森義明教授らの研究グループは、このテラヘルツ波帯で動作する光スイッチを開発しました。本研究では、微小な機械構造を駆動するMEMS(注4)技術を活用し、従来よりもシンプルな単層のシリコン基板上にデバイスを形成することに成功しました。動的制御が可能なデバイスを簡素な構造で実現した点も大きな特長です。

開発したデバイスは、300GHzという高い周波数で優れたスイッチ性能(消光比13.69dB)を示し、消費電力も3.6mWと低く抑えられています。これにより、将来の6G通信機器や高性能センサーなどに向けた、より小型で省エネルギーなシステムの実現に貢献することが期待されます。

本研究成果は2026年4月16日に、科学誌IEEE Transactions on Terahertz Science and TechnologyにEarly Access(オンライン早期公開)として掲載されました。

図1. 単層シリコン基板上に作製したテラヘルツ光スイッチの外観写真 (a)全体写真、(b)拡大写真

【用語解説】

注1. テラヘルツ帯:テラヘルツ波が含まれる周波数領域のこと。一般に約0.1~10テラヘルツ(波長約3mm~30μm)の範囲を指す。テラヘルツ波は、光波(赤外線)と電波(ミリ波)の中間に位置する帯域の電磁波で、検査・分析への応用に加え、次世代通信(6G)への利用が期待されている。

注2. 消光比:スイッチのオン・オフ状態の信号強度差を示す指標。値が大きいほど、信号を明確に切り替えられることを示し、スイッチ性能が高いことを意味する。

注3. 第6世代移動通信システム(6G):現行の携帯電話で使われている4G、5Gに続く無線通信システム。2030年代の商用化が見込まれている。通信速度は5Gの10倍以上の毎秒100ギガビット級(ギガは10億)が想定されている。高精細な3D映像に加え、触覚情報などリアルタイムで送受信できるようになり、遠隔医療や臨場感のあるリモート教育などへの応用が期待されている。

注4. MEMS:Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)の略。微細加工技術により、機械構造と電気回路を一体的に集積したデバイス。

【論文情報】

タイトル:Terahertz Optical Switches with Movable Silicon Waveguides Monolithically Fabricated on High-Resistivity Single-Crystal Silicon Substrates
著者:Kohei Chiba and Yoshiaki Kanamori*
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 教授 金森義明
掲載誌:IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology
DOI:10.1109/TTHZ.2026.3683533

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
教授 金森義明
TEL:022-795-4893
Email: ykanamori*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科
情報広報室 担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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