2026年 | プレスリリース・研究成果
歯周組織再生を促すチタンナノ表面を開発―ナノテクノロジーにより歯周組織再生の鍵を握る細胞を制御―
【本学研究者情報】
〇大学院医工学研究科/大学院歯学研究科 教授 山田将博
ウェブサイト
〇大学院歯学研究科 教授 江草宏
ウェブサイト
【発表のポイント】
- 歯周組織の再生には、歯根表面を覆うセメント質(注1)の形成が重要ですが、その制御機構は十分に解明されていません。
- チタン表面にセメント質表面に似せた三次元ナノ突起構造を付与することで、セメント芽細胞(注2)の石灰化を大幅に向上させることに成功しました。
- 天然歯に近い機能を持つ「バイオハイブリット・インプラント」の実現に向け、セメント質の再生を促すインプラント材料開発の新たな基盤となります。
【概要】
歯科用インプラント治療は広く普及していますが、天然歯とは異なり、インプラントには歯根膜が存在しません。歯根膜は、歯と骨をつなぎ、咀嚼時の力を緩衝し、歯周組織の恒常性を維持する重要な組織です。そのため、歯根膜やセメント質を含む歯周組織を再構築できる新しいインプラント材料の開発が求められています。
東北大学大学院歯学研究科の小汲橘平大学院生、江草宏教授、および同大学大学院医工学研究科(歯学研究科兼任)の山田将博教授らの研究グループは、歯根のセメント質表面を模倣したチタンナノ表面改質法を開発し、このセメント質模倣チタンナノ表面がセメント芽細胞の細胞外基質石灰化を顕著に促進することを明らかにしました。さらに、この表面ではセメント質形成やリン酸代謝に関連する遺伝子発現が活性化し、生体に近い結晶性をもつハイドロキシアパタイトを含む石灰化物が形成されることを見出しました。
本研究成果は、チタン表面のナノスケール構造が細胞に物理的刺激を与え、セメント芽細胞の石灰化を制御することを示唆するものであり、歯周組織再生を目指した次世代インプラント材料開発への応用が期待されます。
本研究成果は、2026年4月29日に歯科材料学の専門誌Dental Materialsのオンライン版に掲載されました。
図1. 三次元ナノ突起異方性構造の物理的接触刺激によるセメント芽細胞石灰化制御の概要
【用語解説】
注1.セメント質 :歯根表面を覆う硬組織で、歯根膜線維が入り込むことで歯と歯槽骨をつなぐ役割を担う。歯周組織の構造と機能を維持するうえで重要な組織。
注2.セメント芽細胞:セメント質を形成する細胞。歯根表面に存在し、セメント質基質の産生や石灰化に関与する。
【論文情報】
タイトル:Anisotropic three-dimensional titanium nanospike architectures drive matrix mineralization of human cementoblast-like cells through biophysical cues
著者:Kippei Ogumi, Masahiro Yamada*, Koki Otake, Takayuki Ohtake, Jun Watanabe, and Hiroshi Egusa*
*責任著者:
東北大学大学院医工学研究科 メカノ医歯工学分野、大学院歯学研究科 生体再生歯工学分野 教授 山田 将博
東北大学大学院歯学研究科 分子・再生歯科補綴学分野 教授 江草 宏
掲載誌:Dental Materials
DOI:10.1016/j.dental.2026.04.012
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
メカノ医歯工学分野
東北大学大学院歯学研究科
生体再生歯工学分野
教授 山田 将博(やまだ まさひろ)
Email: yamamasa*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学大学院歯学研究科
分子・再生歯科補綴学分野
教授 江草 宏(えぐさ ひろし)
Email: egu*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
広報室
TEL: 022-717-8260
Email: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

![]()
東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています