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X線透視ガイド下で手技を行う医療従事者用の衝立型放射線防護具を開発―医療従事者の放射線白内障発生リスク低減へ―

【本学研究者情報】

〇放射線検査学分野/災害放射線医学分野 教授 千田浩一
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • X線透視ガイド下で手技を行う医療従事者向けに、Cアーム式装置にも設置可能で簡便な衝立型放射線防護具(注1)(以下、本防護具)を開発しました。
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)手技(注2)を再現した実験により、術者の眼位置における散乱線(注3)を約90%、麻酔科医の眼位置で約86%遮蔽できることを確認しました。
  • 本防護具の使用により、X線透視ガイド下手技従事者の放射線白内障(注4)の発生リスク低減に寄与するとともに、医療従事者の安全性の向上が期待されます。

【概要】

X線透視ガイド下で手技を行う医療従事者は、散乱線による眼の被ばくを受けるため、放射線白内障などの障害が発生するリスクがあります。近年、そのリスクは従来考えられていたよりも高いことが明らかになっており、X線透視ガイド下手技従事者の水晶体被ばく線量を低減することが課題です。

東北大学大学院医学系研究科放射線検査学分野の石井浩生助教、稲葉洋平講師、千田浩一教授(災害放射線医学分野)らの研究グループは、X線透視ガイド下手技従事者用の、簡便な衝立型放射線防護具の開発に成功しました。本防護具は、近年普及が進むCアーム式装置の防護でも使用できるように患者テーブルに設置する衝立型の防護具です。主にERCPでの使用を想定しており、術者と麻酔科医用の2種類を開発しました(図)。人体模型を用いた実験にて遮蔽能力を評価したところ、術者位置での遮蔽率は90%以上、麻酔科医位置での遮蔽率は86%であり、含鉛防護眼鏡(注5)よりも高い遮蔽効果が期待できることが分かりました。本防護具の使用により、X線透視ガイド下手技従事者の放射線白内障の発生リスク低減に寄与するとともに、医療従事者の安全性の向上が期待されます。

本研究成果は、Journal of Radiation Research (Oxford Academic)の電子版に2026年5月6日に公開されました。

図.新開発の衝立型防護具(左:術者用、中央:麻酔科医用)と既存のERCP用防護カーテン(右)。本防護具は近年普及しつつあるCアーム式装置にも設置でき、面ファスナー(マジックテープ)で容易に脱着できる。

【用語解説】

注1. 放射線防護具:医療現場や産業現場においてX線やガンマ線等による放射線被ばくから身体を守るための装備。

注2. 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)手技:内視鏡を用いて胆管や膵管に造影剤を注入し、X線撮影する検査法。胆管や膵管の結石や狭窄に対する診断および治療を同時に行うことができる。

注3. 散乱線:X線やガンマ線等の放射線が物質(人体や撮影台)を通過する際、内部の電子と相互作用を起こして進行方向が乱反射した放射線。医療放射線では画像コントラストの低下や医療従事者被ばくの原因となる。

注4. 放射線白内障:眼の水晶体が放射線に曝されることで細胞が傷害され、水晶体が混濁すること。

注5. 含鉛防護眼鏡:眼の放射線防護を目的とした、レンズに鉛を含む素材が用いられた眼鏡あるいはゴーグル形状の防護具。

【論文情報】

タイトル:Fundamental evaluation of a novel upright shield to protect medical personnel from scattered radiation during endoscopic retrograde cholangiopancreatography using a C-arm system
著者: Hiroki Ishii, Koichi Chida*, Yohei Inaba, Shu Onodera, Shingo Kayano and Masahiro Sai
*責任著者:東北大学大学院医学系研究科 放射線検査学分野/災害放射線医学分野 教授 千田 浩一(ちだ こういち)
掲載誌:Journal of Radiation Research (Oxford Academic), 2026.
DOI:10.1093/jrr/rrag030

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科
放射線検査学分野/災害放射線医学分野
教授 千田 浩一(ちだ こういち)
TEL: 022-717-7943
Email: koichi.chida.d8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科医学部広報室
東北大学病院広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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