2026年 | プレスリリース・研究成果
植物ホルモン「ジャスモン酸」の新たな不活性化経路を発見 ―防御応答を終わらせる代謝の仕組みに関する長年の定説を更新―
【本学研究者情報】
〇理学研究科化学専攻 (兼担)生命科学研究科 教授 上田実
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 障害を受けた植物の防御応答を制御する植物ホルモン ジャスモン酸類(注1)の新たな不活性化経路を発見しました。
- 傷害後、主要なジャスモン酸類代謝産物として11-ヒドロキシジャスモン酸(以下、11-OH-JA)(注2)が蓄積することでジャスモン酸類が不活性化されることを新たに発見しました。
- 植物の成長と防御の両立を支える技術開発への手がかりになります。
【概要】
植物は、傷害を受けると植物ホルモン ジャスモン酸類を作り、防御応答を開始します。ジャスモン酸類の生体内濃度は、代謝による不活性化で厳密に制御されており、その分子機構は、植物の防御応答の開始と終了のタイミングを適切に制御する上で重要です。これまでは、ジャスモン酸類の不活化による防御応答の終了には12-ヒドロキシジャスモン酸(以下、12-OH-JA)(注3)による不活性化が関与していると考えられていました。
東北大学大学院理学研究科 上田実教授、松本幸太郎大学院生の研究グループは、北海道大学大学院農学研究院 松浦英幸教授らとの共同研究で、シロイヌナズナにおける主要な不活性化産物は、12-OH-JAではなく11-OH-JAであることを発見しました(図1)。
本成果は、長年信じられてきたジャスモン酸代謝の理解を更新するものです。本研究成果は、5月21日(英国標準時)に科学誌、Nature Communicationsのオンライン版に掲載されました。
図1. 本研究の概略図
【用語解説】
注1. ジャスモン酸類:植物ホルモンの一群で、傷害、昆虫食害、病原菌感染などに対する防御応答を制御します。代表的な活性型はジャスモン酸イソロイシン(JA-Ile)です。
注2. 11-ヒドロキシジャスモン酸(11-OH-JA):ジャスモン酸の11位が水酸化された代謝産物です。本研究により、傷害を受けたシロイヌナズナで主要に蓄積する不活性化産物であることを明らかにしました。
注3. 12-ヒドロキシジャスモン酸(12-OH-JA):ジャスモン酸類の代謝産物の一つです。従来、ジャスモン酸の主要な不活性化産物と考えられてきましたが、本研究により、11-OH-JAとは異なる経路で生成することが示されました。
【論文情報】
タイトル:(3R,7S)-11-hydroxy-jasmonic acid is a major oxidative shunt product of jasmonic acid catabolism in Arabidopsis thaliana
著者:Kotaro Matsumoto, Maria Mitsui, Takuya Kaji, Naoki Kitaoka, Ruiqi Gao, Taketomo Otaki, Yuho Nishizato, Hideyuki Matsuura, Minoru Ueda*
*責任著者:東北大学大学院理学研究科 教授 上田 実(うえだ みのる)
掲載誌:Nature Communications
DOI:10.1038/s41467-026-73528-9
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院 理学研究科化学専攻
生命科学研究科 兼担
教授 上田 実(うえだ みのる)
TEL:022-795-6553
Email:minoru.ueda.d2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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