2026年 | プレスリリース・研究成果
ナノポアを用いたポリペプチドの1分子検出に成功: 複数狭窄部を有するEpx4ナノポアを利用
【本学研究者情報】
〇生命科学研究科 教授 田中良和
研究室ウェブサイト
【概要】
東京農工大学大学院工学研究院生命工学部門の川野竜司教授と同大学院工学府生命工学専攻大学院生の伊集院綾子、佐藤茉奈、同大学院グローバルイノベーション研究院の竹内七海特任助教、東北大学大学院生命科学研究科の田中良和教授、大学院生の内藤航大(当時)、University of Rome Tor VergataのMauro Chinappi准教授、同大学大学院生のVirginia Di Toro Mammarellaらは、複数の狭窄部注1)を有するEpx4注2)ナノポア注3)を用いたポリペプチドの検出に成功し、機械学習を用いた識別能評価の結果、従来のナノポアよりも高い識別能を有することを実証しました。本成果は、ペプチドを検出可能なナノポアに関する知見の蓄積に貢献するものであり、ペプチドを標的とするバイオセンサーやペプチドシーケンサー注4)への応用が期待されます。
本研究成果は、Wileyの国際学術誌Small Methods(6月11日付)に掲載されました。
図1:Epx4ナノポアの構造とナノポア計測の原理。Epx4ナノポアは複数の狭窄部を持つことが推測されています。ナノポア計測では、電圧印加下でイオン電流が流れ、ペプチドがナノポアを通過する際に一時的な電流阻害が起こります。この電流阻害シグナルを解析することで、ペプチドを1分子レベルで同定することが可能です。(A. Ijuin et al., Small Methods, 2026より一部引用)
【用語解説】
注1)狭窄部 ナノポア内部で最も孔(ポア)直径が小さくなる部分。分子が通るときに一番強く影響を受ける細い場所で、通過分子を識別するために重要である。
注2)Epx4 腸球菌という細菌が産生する孔(ポア)形成毒素の一種で、細胞の膜に孔(ポア)を開ける働きを持つ。
注3)ナノポア 膜タンパク質やイオンチャネルによって、脂質二分子膜中に形成されるナノメートル(1ミリメートルの100万分の1)サイズの微細な孔(ポア)。
注4)ペプチドシーケンサー タンパク質やペプチドを構成するアミノ酸の配列を決定するための分析装置や手法のこと。
【論文情報】
論文タイトル:Epx4 Nanopore With Multiple Constrictions for Single-Molecule Identification
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smtd.70762
問い合わせ先
東北大学 大学院生命科学研究科広報室
E-mail:lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)