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AIの予測根拠を解読して材料設計指針を導く新手法を開発-マテリアルズ・インフォマティクスによる材料探索の加速-

【本学研究者情報】

〇金属材料研究所 教授 熊谷悠
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 物性予測AIの内部情報から材料設計の指針を抽出する汎用的な新手法を開発
  • 2,681種の物質の光吸収スペクトルを学習したAIに適用して手法の有効性を実証
  • 物性の支配因子となる元素と局所構造を自動で特定

【概要】

東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 フロンティア材料研究所の高橋亮助教、大場史康教授(神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)プロジェクトリーダー兼任)、同大学 物質理工学院 材料系の高松新修士課程学生(研究当時)は、東北大学 金属材料研究所の熊谷悠教授と共同で、材料のスペクトルデータを予測する人工知能(AI)モデルを解釈し、類似する材料をグループ化することで、材料設計の指針となる情報を抽出する新手法を開発しました。

材料科学において、所望の材料特性の発現に関わる構成元素や原子配列の特徴を見いだすことは、材料設計指針の構築や物性発現機構の解明のために重要です。一方で近年、AIによって材料の物性を高い精度で予測できるようになってきており、そうした予測モデルの内部には材料設計に有用な知見が含まれていると期待されます。しかし、特にスペクトルデータについては、その知見を引き出すための解釈手法は確立していませんでした。

本研究では、結晶構造から物性を予測するAIモデルから材料ごとの特徴を抽出し、類似した特徴とスペクトル形状を持つ材料をグループ化する手法を提案しました。第一原理計算(用語1)に基づく2,681種の金属酸化物やカルコゲナイド(用語2)等の光吸収スペクトルデータベースを構築してAIモデルの学習に用い、本手法を適用した結果、スペクトル特性と構成元素・配位環境(用語3)の両方が類似した材料のグループに分類できました。さらに、この材料グループ内の共通点やグループ間の相違点を考察することで、スペクトル特性を決定づける元素種や局所構造を明らかにすることに成功しました。

本手法は、光吸収スペクトルに限らずさまざまな物性データに適用可能であり、マテリアルズ・インフォマティクス(用語4)を用いた材料設計指針の獲得に広く貢献することが期待されます。
本成果は6月15日付の「Advanced Intelligent Discovery」誌に掲載されました。

図1 本研究で提案した手法の概略図

【用語解説】

(1)第一原理計算:量子力学の基本原理に基づいた理論計算。物質の電子構造やエネルギーを計算することにより、電子・光学特性や安定性、構造など多様な物性を予測することができる。

(2)カルコゲナイド:酸素以外の硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)などの第16族元素(カルコゲン)と金属元素の化合物の総称。

(3)配位環境:ある原子の周囲に位置する隣接原子の数や配置のこと。例えば正四面体配位では、中心原子の周りに4個の原子が正四面体の頂点に位置する。

(4)マテリアルズ・インフォマティクス:材料科学における実験および理論計算の結果に対して、機械学習などのデータ科学手法を適用することで、膨大な種類の材料やその性質を俯瞰的に扱うアプローチ。

【論文情報】

掲載誌: Advanced Intelligent Discovery
論文タイトル:Deep Learning-Based Extraction of Promising Material Groups and Common Features from High-Dimensional Data: A Case of Optical Spectra of Inorganic Crystals(深層学習に基づく高次元データからの有望材料群およびその共通の特徴の抽出:無機結晶の光学スペクトルの事例)
著者:Akira Takahashi, Yu Kumagai, Arata Takamatsu, and Fumiyasu Oba(高橋亮、熊谷悠、高松新、大場史康)
DOI:10.1002/aidi.202600007

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学 金属材料研究所 情報企画室広報班
TEL:022-215-2144
Email:press.imr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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