2026年 | プレスリリース・研究成果
ダイヤモンド光デバイスの共鳴波長制御に成功 ―MEMS技術により量子フォトニクスデバイスの高機能化へ―
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科 教授 金森義明
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 超ナノ微結晶ダイヤモンド(UNCD)(注1)製フォトニック結晶(注2)とMEMS(注3)アクチュエータを集積した新しいダイヤモンド光デバイスを開発しました。
- MEMSアクチュエータによる機械的変形を利用して、共鳴波長の制御に成功しました。
- フォトニック結晶の周期を1004nmから1076nmまで変化させ、共鳴波長を最大23nmシフトさせることに成功しました。
- 量子通信や量子コンピューティング向けダイヤモンド光デバイスの高機能化に貢献することが期待されます。
【概要】
ダイヤモンドは、カラーセンター(注4)を有し、量子情報処理を支える有力材料として注目されています。一方、フォトニック結晶は光を閉じ込めたり制御したりできる構造であり、光と量子状態の相互作用を高める役割を担います。この両者を組み合わせたダイヤモンドフォトニック結晶は、量子フォトニクス(注5)デバイスを実現するための重要な要素技術として研究されていますが、加工誤差によって共鳴波長が変化しやすく、製造後に光学特性を調整する技術が求められていました。
東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻の金森義明教授らの研究グループは、UNCD製フォトニック結晶とMEMSアクチュエータを集積し、共鳴波長を機械的に制御する技術を開発しました。作製したデバイスでは、印加電圧75Vにより共鳴波長を最大23nmシフトさせることに成功しました。
本成果は、ダイヤモンド光デバイスの高機能化につながる新たな波長制御技術を提供するものであり、量子通信、量子コンピューティング、高感度センサなどへの応用が期待されます。本研究成果は2026年6月5日に科学誌Diamond and Related Materialsに掲載されました。
図1. 機械可変ダイヤモンドフォトニック結晶の波長制御原理。MEMS駆動によりフォトニック結晶の周期が初期周期 p1から周期 p2に変化し、それに伴って共鳴波長がシフトする。
【用語解説】
注1. 超ナノ微結晶ダイヤモンド(UNCD):数ナノメートルサイズの結晶粒からなるダイヤモンド薄膜材料。機械的強度や耐久性に優れ、MEMSとの高い親和性を有する。
注2. フォトニック結晶:光の波長程度の周期構造を持つ人工光学材料。光の伝搬や共鳴を制御できる。
注3. MEMS:Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)の略。微細加工技術により、機械構造と電気回路を一体的に集積したデバイス。
注4. カラーセンター:ダイヤモンド結晶中の欠陥に起因する発光中心。代表的なものに窒素空孔中心(NVセンター)があり、量子状態を制御できることから、量子通信や量子コンピューティングへの応用が期待されている。
注5. 量子フォトニクス:光を利用して量子情報の生成・伝送・制御を行う技術分野。量子通信や量子コンピューティングの基盤技術として期待されている。
【論文情報】
タイトル:Mechanically tunable ultrananocrystalline diamond 1D photonic crystal slab
著者:Taro Ikeda* and Yoshiaki Kanamori
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 池田太郎
掲載誌:Diamond and Related Materials
DOI:10.1016/j.diamond.2026.113810
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
教授 金森義明
TEL:022-795-4893
Email: ykanamori*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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