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金属らせん磁性体の巻き方制御を直接実証 ―新型磁気メモリ開発に向け重要な基盤を確立―

【本学研究者情報】

〇金属材料研究所 講師 増田英俊
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 原子が持つ磁気モーメント(注1がらせん状に整列した「らせん磁性体」(注2では、らせんの巻き方(キラリティー、右巻き・左巻き)が電流と磁場によって制御できることが示唆されていました。
  • 微視的なプローブであるスピン偏極中性子散乱(注3実験によりらせん磁性の巻き方を直接観測し、試料体積の90%以上(最大99%)で巻き方を制御できることを明らかにしました。
  • 巻き方自由度を用いた新型磁気メモリへの応用に向けて、重要な基盤となります。

【概要】

磁気モーメントがらせん状に整列したらせん磁性体は、巻き方(右巻き・左巻き)の自由度を持ち、これを "0" と "1"に対応させた新しい磁気メモリへの応用が期待されています。制御した巻き方はこれまで、巨視的な実験手法である電気伝導測定によって、間接的に観測されていました。

東北大学金属材料研究所の増田英俊講師、柳澤祐太郎大学院生、小野瀬佳文教授、総合科学研究機構中性子科学センターの大石一城主任研究員、京都大学複合原子力科学研究所の南部雄亮特定教授、慶應義塾大学理工学部の新居陽一准教授の研究グループは、スピン偏極中性子散乱実験を行うことでらせん磁性の巻き方を直接観測し、巻き方が試料体積全体の90%以上(最大99%)の高い精度で制御できることを明らかにしました。本研究成果は、らせん磁性体を用いた新型磁気メモリの実現に向け、重要な基盤となることが期待されます。

本研究成果は 2026 年 6月16日(米国時間)に米国科学アカデミー紀要(PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America) に掲載されました。

図1 らせん磁性体の巻き方制御。原子が持つ磁気モーメントがらせん状に整列しており、 右巻き・左巻きの巻き方の自由度が生じる。電流と磁場を同時に印加すると左巻きまたは右巻きに揃えることができる。らせん磁性メモリではこれらを"0"と"1"に割り当てる。

【用語解説】

注1. 磁気モーメント
物質中の原子が持つ、微小な磁石(原子磁石)としての性質。原子の磁気モーメントの整列の仕方によって、物質全体の磁気特性が決まる。

注2. らせん磁性体
原子の磁気モーメントが、図1のようにらせん状に整列した構造を持つ物質。一つの原子層内では磁気モーメントが同じ方向に揃っているが、隣接する原子層ごとに少しずつ向きが変わり、物質全体としてらせん状の構造を形成する。らせんの巻き方(右巻き・左巻き)の自由度を持つ。

注3. スピン偏極中性子散乱
中性子の持つスピン(小さな磁石としての性質)自由度に注目した中性子散乱手法のこと。スピンを揃えた中性子を試料に入射し、その散乱パターンを観測することで磁気構造の情報を得る。中性子スピンを揃えない非偏極中性子散乱の場合と比べて得られる情報が増え、らせん磁性の巻き方を直接観測することができる。

【論文情報】

タイトル:Direct demonstration of electric chirality control in a helimagnetic YMn6Sn6 by spin-polarized neutron scattering
著者:Hidetoshi Masuda*, Yutaro Yanagisawa, Kazuki Ohishi, Yusuke Nambu, Yoichi Nii, and Yoshinori Onose
*責任著者:東北大学金属材料研究所 講師 増田英俊
掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)
DOI: 10.1073/pnas.2600410123

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学金属材料研究所
講師 増田英俊
TEL: 022-215-2244
Email: hidetoshi.masuda.c8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学情報企画室広報班
TEL: 022-215-2144
Email: press.imr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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