2026年 | プレスリリース・研究成果
稀有な免疫細胞による骨再生の促進を発見 ―口腔粘膜を起点とした新たな抜歯後骨再生メカニズムを解明―
【本学研究者情報】
〇大学院歯学研究科 講師 近藤威
大学院歯学研究科 教授 江草宏
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 歯を抜いた後の骨再生を制御する免疫メカニズムは十分に解明されていませんでした。
- 口腔粘膜の線維芽細胞が2型自然リンパ球(ILC2)(注1)を活性化し、抜歯後の骨再生を誘導する新規のメカニズムを発見しました。
- 抜歯後のインプラント治療を含む新たな骨再生医療戦略につながることが期待されます。
【概要】
抜歯すると噛む刺激が失われて顎の骨(歯槽骨)が溶けることで顎の形態が大きく変化(骨吸収)し、その後のインプラントや義歯治療を困難にします。しかし、歯を抜かれて炎症を起こした抜歯窩(注2)においてどのような免疫細胞が骨再生を制御しているのかは十分に解明されていませんでした。
東北大学大学院歯学研究科の佐藤友美大学院生(研究当時)、近藤威講師、江草宏教授らの研究グループは、組織修復に深く関わっていることで近年注目を集めている2型自然リンパ球(ILC2)が抜歯後の骨再生を促進することを発見しました。さらに、口腔粘膜の線維芽細胞が損傷時にインターロイキン33(IL-33)というサイトカインを放出し、ILC2を活性化することで骨再生を促進する新たな免疫制御機構を明らかにしました。
本研究成果は、口腔粘膜や各組織に少数しか存在しない希少な免疫細胞ILC2が骨再生治療に向けた新たな標的となる可能性を示し、インプラント治療を含む抜歯後の骨吸収抑制や次世代の骨再生医療への応用が期待されます。
本成果は、2026年6月22日に科学誌Journal of Dental Researchのオンライン版に掲載されました。
図1. 抜歯窩におけるILC2の数とIL-13産生の変化
【用語解説】
注1. 自然リンパ球:これまで広く知られていたB細胞やT細胞などのリンパ球に対して、近年日本の研究者によって新たに発見された抗原受容体を持たないリンパ球。T細胞と類似した機能を示し、ILC1、ILC2、ILC3に分類される。各組織に少数しか存在しない。
注2. 抜歯窩(ばっしか):歯を抜いた後に顎の骨に形成される欠損部。抜歯後、欠損部位に様々な細胞が集積し、組織の修復過程を経て最終的に新しい骨が形成される。この過程で顎の骨の形態が部分的に変わることが知られている。
【論文情報】
タイトル:Gingival Fibroblast-Driven Osteoimmunology via the IL-33-ILC2-IL-13 Axis
著者:Yumi Sato, Takeru Kondo*, Koki Otake, Sara Ambo, Amal Ashry, Kulapatch Engkatanachai, Hiroshi Egusa*
*責任著者:
東北大学大学院歯学研究科 次世代歯科材料工学講座 講師 近藤 威
東北大学大学院歯学研究科 分子・再生歯科補綴学分野 教授 江草 宏
掲載誌:Journal of Dental Research
DOI:10.1177/00220345261449746
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
次世代歯科材料工学講座
講師 近藤 威(こんどう たける)
TEL: 022-717-8433
Email: takeru.kondo.a7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学大学院歯学研究科
分子・再生歯科補綴学分野
教授 江草 宏(えぐさ ひろし)
TEL: 022-717-8363
Email: hiroshi.egusa.e2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
広報室
TEL: 022-717-8260
Email: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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