2026年 | プレスリリース・研究成果
CFRP接着構造の強度を数値解析で予測するマルチスケール解析モデルを構築 ―航空機構造の軽量化に向けた接着剤設計の効率化へ―
【本学研究者情報】
〇グリーン未来創造機構グリーンクロステック研究センター 助教 干川大和
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【発表のポイント】
- 航空機構造の軽量化に向けて、CFRP(注1)などの複合材料をボルトではなく接着剤で接合する接着構造(注2)への期待が高まっています。
- 接着剤に添加される改質剤(ゴム粒子)が、接着剤内部の損傷や変形に与える影響を考慮し、CFRP接着構造の強度を予測するマルチスケール解析(注3)モデルを構築しました。
- 従来は実験的な試行錯誤に頼ることが多かった改質剤(注4)の添加量設計を、数値解析に基づいて行うための指針になると期待されます。
【概要】
航空機をはじめとする輸送機器では、燃費向上や二酸化炭素排出量削減に向けて、機体構造のさらなる軽量化が求められています。特に次世代航空機では、構造部材を固定するボルトなどの機械的締結(注5)を減らし、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を接着剤で接合する接着構造への期待が高まっています。
航空機用接着剤には、耐熱性や力学特性に優れるエポキシ樹脂(注6)が広く用いられています。しかし、エポキシ樹脂は割れやすいため、じん性(注7)向上を目的にゴム粒子などの改質剤が添加されます。一方で、改質剤の添加量によって接着剤の特性や接着構造の強度がどう変化するかを事前に予測することは難しく、従来は実験を繰り返しながら最適条件を探索する必要がありました。
東北大学グリーン未来創造機構グリーンクロステック研究センターの干川大和助教らの研究グループは、改質剤周辺で生じる微視的な損傷を表すモデルと、接着剤とCFRPからなる接着構造全体の破壊を表すモデルを連携させたマルチスケール解析モデルを構築しました。さらに、接着剤の強度だけでなく、破壊の進みにくさを示すじん性にも着目し、改質剤添加による接着強度向上メカニズムを実験と数値解析の両面から明らかにしました。今回得られた知見により、接着剤開発における試行錯誤の削減や、高信頼性な接着構造設計への貢献が期待されます。
本研究成果は、2026年6月20日、学術誌 International Journal of Solids and Structures(IJSS)に掲載されました。
図1. 本研究で実施した接着強度試験。破壊後の接着面にはCSR粒子の痕がみられる。
【用語解説】
注1.CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plasticの略称です。炭素繊維を樹脂で固めた複合材料で、軽量で高強度なため、航空機、自動車、スポーツ用品などに用いられています。
注2.接着構造:ボルトやリベットなどの機械的な固定具ではなく、接着剤によって部材同士を接合した構造です。穴あけ加工を減らせるため、軽量化や応力集中の低減が期待されます。
注3.マルチスケール解析:材料内部の微小な構造で生じる現象と、構造全体の変形や破壊を結び付けて解析する手法です。本研究では、CSR粒子周辺の微視的な変形や損傷を評価し、その結果をCFRP接着構造全体の強度予測に反映しています。
注4.改質剤:樹脂などの材料に添加し、じん性、柔軟性、耐衝撃性などの性質を改善するための物質です。本研究では主にゴム粒子を指します。
注5.機械的締結:ボルト、リベット、ねじなどを用いて部材を固定する方法です。航空機構造で広く用いられています。
注6.エポキシ樹脂:耐熱性、接着性、力学特性に優れた樹脂です。航空機用接着剤や複合材料の母材樹脂として広く用いられています。
注7.じん性:材料の割れにくさ、または破壊の進みにくさを表す性質です。強度が高くてもじん性が低い材料は、き裂が発生すると急激に壊れる場合があります。
【論文情報】
タイトル:Multiscale Modeling of Toughening in Thermosetting Resins Based on a Microscopic Damage Model: Application to Bonded CFRP Structures
著者:Yamato Hoshikawa*, Sera Koo, Yoshiaki Kawagoe, Shoko Mishima, Kazuki Ryuzono and Tomonaga Okabe
*責任著者:東北大学グリーン未来創造機構 グリーンクロステック研究センター 助教 干川 大和
掲載誌:International Journal of Solids and Structures
DOI:10.1016/j.ijsolstr.2026.114159
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学グリーン未来創造機構
グリーンクロステック研究センター
助教 干川 大和
TEL: 022-795-5643
Email: yamato.hoshikawa.d4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学グリーン未来創造機構
グリーンクロステック研究センター事務室
TEL: 022-795-5648
Email: green-x-tech*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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