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マイクロ液滴を含む新流体材料を利用した「マイクロフローアッセイ法」の開発に成功 〜ウイルス感染能の超高感度定量測定を実現〜

【本学研究者情報】

〇学際科学フロンティア研究所 准教授 奥村正樹
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • PCR法では困難だった、ウイルス感染能の超高感度定量測定を可能にする新たな技術「マイクロフローアッセイ法」を開発しました。マイクロフローアッセイ法では、ウイルス感染能を迅速に定量測定することができ、従来のプラークアッセイ法と比べて10倍以上高い感度で大幅な測定時間の短縮を実現しました。
  • ウイルス感染能の高感度測定にむけ、多糖類の一種であるデキストラン(Dex)からなるマイクロ液滴が分散した新たな全水系の流体材料を開発しました。
  • M13ファージウイルス注1)と大腸菌をDexマイクロ液滴内に局在させ、ウイルスを閉じ込めることに成功し、フローサイトメトリー解析注2)によるウイルス感染能の超高感度定量測定が可能になりました。

【概要】

ウイルスの超高感度検出は、感染症の拡大を防ぐ上で重要な技術です。ウイルスの核酸量を測定するPCR法は、ウイルスの絶対量を高感度で測定する技術として実用化されています。しかし、PCR法では失活したウイルスも計測されるため、感染能の正確な定量評価には適しておらず、ウイルス感染能を超高感度定量測定する技術は、未確立の現状にあります。

本研究チームでは、細胞内に見られるマイクロ液滴から着想を得て、ウイルス感染能の超高感度定量測定を可能にする新たな流体材料の開発に成功しました。開発した流体材料は、その内部にマイクロ液滴を含みます。通常、マイクロ液滴は速やかに融合し、マクロな相分離に至るため、微小空間が求められる微量サンプルの高感度検出への適用は困難でした。本研究チームは、ポリエチレングリコール(PEG)水溶液中に作られるデキストラン(Dex)マイクロ液滴の融合を長時間にわたり抑制するAzSAPペプチドナノファイバーを用いて、マイクロ液滴が分散した新たな流体材料を開発しました。流体材料中のDexマイクロ液滴内部に、M13ファージウイルスと、その宿主細胞である大腸菌を局在させると、ファージウイルスの液滴外での二次感染注3)が抑えられ、フローサイトメトリー解析によってウイルス感染の超高感度定量測定が可能になりました。本研究で開発した新たなウイルス感染能の定量測定法「マイクロフローアッセイ法」は、従来の感染能測定方法であるプラークアッセイ法に比べて10倍以上高い感度と、測定時間の大幅な短縮を実現しました。

本研究成果は、2026年7月22日(水)、Nature Communications誌のオンライン版で公開されました。

図1 (a) AzSAPの分子構造。
(b,c) 不安定な従来のDex液滴(b)と、安定性、流動性、時空間的な制御性を兼ね備えたDex液滴/AzSAPシステム(c)の比較。

【用語解説】

注1)M13ファージウイルス
大腸菌に感染する糸状の細菌感染ウイルスの一種。一本鎖DNAをゲノムとして持ち、宿主細胞を破壊することなく増殖できる。

注2)フローサイトメトリー解析
細胞や微粒子を液体中に分散させて一列に流し、レーザー光を照射することで、散乱光や蛍光シグナルを測定し、それぞれの粒子の物理的・生物学的特性を高速かつ定量的に解析する手法。

注3)二次感染
一度ウイルスに感染した後、別の病原体に新たに感染すること。

【論文情報】

タイトル: Supramolecular nanofiber stabilization of microdroplets enables ultra-sensitive virus infection analysis
著者:Noriyuki Uchida, Atsuya Yaguchi, Shiori Kondo, Kazuyoshi Muranishi, Haruka Kawabata, Haruka Umezawa, Naito Ishimoto, Michiko Tajiri, Satoko Akashi, Takuya Seki, Go Watanabe, Ayano Yoshida, Genki Higuchi, Jakuei Fu, Takanobu Takenouchi, Daisuke Yoshino, Hirotsugu Hiramatsu, Masaki Okumura, Tomohide Saio, Hiroyuki Noji, Young-Ho Lee, Sam-Yong Park, Takahiro Muraoka
*責任著者:Noriyuki Uchida (内田紀之)、Sam-Yong Park (朴三用)、Takahiro Muraoka (村岡貴博)
掲載誌:Nature Communications
DOI:10.1038/s41467-026-75297-x

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問い合わせ先

(報道に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所 企画部
TEL: 022-795-4353
E-mail: fris-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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