2026年 | プレスリリース・研究成果
材料プロセスデータ科学でMOFを狙った大きさに合成 ―自動実験と連動した全自動プロセス最適化に期待―
【本学研究者情報】
〇学際科学フロンティア研究所 教授 笘居高明
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【発表のポイント】
- 結晶性多孔性材料(注1)である金属有機構造体(MOF)(注2)を対象に、合成条件から粒子の大きさを予測する機械学習モデル(注3)を構築しました。
- 代表的なMOFの一つであるZIF-8(注4)について、既報論文130報から合成条件と粒子の大きさを紐づけるデータベースの作成に成功しました。
- 自動実験システムを用いて実際に合成を行い、モデルの予測値と実験値が高い精度で一致することを確認しました。
- 本成果は、触媒やガス貯蔵・分離材料などに使われるMOFを、目的に応じた大きさで効率よく合成する技術につながると期待されます。
【概要】
ノーベル化学賞で注目されている金属有機構造体(MOF)は、触媒やガス貯蔵・分離などへの応用が期待される結晶性多孔性材料です。MOFは規則正しい結晶構造をもつだけでなく、内部に空隙・細孔をもつことが特徴で、その性能は粒子の大きさにも強く左右されます。東北大学学際科学フロンティア研究所および多元物質科学研究所の笘居高明教授と東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)のHao Li教授らのグループは、代表的なMOFであるZIF-8を対象に、既報論文130報から合成条件と粒子の大きさを整理したデータベースを作成しました。このデータを用いて機械学習モデルを構築したところ、高い精度で粒子の大きさを予測できました。さらに、自動実験システムでZIF-8を合成し、実験値と予測値がよく一致することを確認しました。このことは、狙った大きさのMOFを合成する条件が予測できることを意味しており、将来的には自動実験システムと機械学習モデルを連動した、材料合成プロセスの自動最適化につながることが期待されます。
本成果は、2026 年 6月 29 日に学術誌Chemical Scienceに掲載されました。
図1. MOFの粒径を制御するための、AI・データ解析を活用した材料作製の流れ。本手法は、以下の3つの段階で構成されます:(1)体系的な文献データベースの構築、(2)機械学習モデルの訓練および評価、(3)SHAP解析に基づく特徴量重要度分析と自動実験検証による予測モデルの反復的な改良。
【用語解説】
注1. 多孔性材料:内部に多数の微細な孔を持つ材料。分子の吸着・分離・貯蔵などに利用される。
注2. 金属有機構造体(MOF):金属イオンと有機分子が規則的に結合してできる、多数の細孔を持つ結晶性材料。
注3. 機械学習モデル:データから規則性を学習し、未知の条件に対する結果や物性を予測するための数理モデル。
注4. ZIF-8:亜鉛イオンと2-メチルイミダゾールから構成される代表的なMOF。高い安定性と多孔性を持つ。
【論文情報】
タイトル:Materials Process Informatics-Assisted Precise Particle Size Control of Metal-Organic Frameworks
著者:Yuan Wang, Heng Liu, Yusuke Hashimoto, Kazuyuki Iwase, Hao Li*, Takaaki Tomai*
*責任著者:東北大学 材料科学高等研究所 教授 Hao Li
東北大学 学際科学フロンティア研究所 教授 笘居高明
掲載誌:Chemical Science
DOI:10.1039/d6sc03212e
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所
教授 笘居高明
TEL: 022-217-5630
Email: takaaki.tomai.e6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所 企画部 広報担当
Email: fris-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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