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湿潤環境でも形状を維持する高機能絹を開発 ―セルロースナノファイバー添加飼料により高強度・高寸法安定性を実現―

【本学研究者情報】

〇大学院環境科学研究科 准教授 栗田大樹
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • カイコのエサに植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)(注1)を添加し、高機能な絹を作製しました。
  • CNF添加により、絹糸の引張強度が約50%向上し、その効果が撚糸や織物になった後も維持されることを確認しました。
  • 水に濡れた後の乾燥過程で生じる縮みが大幅に抑制され、撚糸では従来の4分の1以下まで低減しました。
  • 高強度と高寸法安定性を兼ね備えた天然由来繊維として、繊維製品や産業材料への応用が期待されます。

【概要】

絹は、軽量・高強度・生体適合性を備えた天然繊維として広く利用されていますが、湿潤環境では収縮や形状変化が生じやすいという課題がありました。東北大学大学院環境科学研究科の栗田大樹准教授、成田史生教授らの研究グループは、カイコのエサにセルロースナノファイバー(CNF)を添加することで、強度と寸法安定性(注2)を同時に向上させた高機能な絹織物の開発に成功しました。

研究グループは、CNFを添加した人工飼料でカイコを飼育し、得られた絹について単糸、撚糸、織物の各階層で力学特性と寸法安定性を評価しました。その結果、単糸で確認されていた強度向上効果が撚糸や織物でも維持されることを明らかにしました。さらに、水を吸収した後の乾燥過程で生じる収縮を調べたところ、CNFを含む絹では縮みが大幅に抑制され、高い寸法安定性を示すことが分かりました。

本成果は、天然由来材料のみを用いて絹の機能を向上させる新たな材料設計手法を示すものであり、高機能繊維やサステナブル材料の開発への貢献が期待されます。本研究成果は、2026年6月25日に産業用繊維・高機能繊維分野の国際学術誌 Journal of Industrial Textiles に掲載されました。

図1.CNF添加飼料による絹織物の強度増加

【用語解説】

注1. セルロースナノファイバー(CNF):植物由来のセルロースをナノメートルサイズまで細くした繊維状材料。軽量で高強度なことから、次世代の環境調和型材料として注目されている。

注2. 寸法安定性:温度や湿度、水分の影響を受けた際に、材料の大きさや形状が変化しにくい性質。

【論文情報】

タイトル:Tensile Properties and Dimensional Stability of Cellulose Nanofiber-Reinforced Silk Fabrics by Silkworm Feeding
著者:Camille Moreau, Hiroki Kurita, Zhenjin Wang, Lovisa Rova, Genki Kobayashi, Mathilde Dubois, Julian Reinhart, Fumio Narita
*責任著者:東北大学大学院環境科学研究科 准教授 栗田 大樹
掲載誌:Journal of Industrial Textiles
DOI:10.1177/15280837261463657

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院環境科学研究科
准教授 栗田大樹
TEL: 022-795-7341
Email: kurita*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院環境科学研究科
情報広報室
TEL: 022-752-2241
Email: kankyo.koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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