2026年 | プレスリリース・研究成果
岩盤に低負荷で流路をひらく新しい水圧破砕法を開発 ―国産エネルギー資源をより身近にする新技術―
【本学研究者情報】
〇大学院環境科学研究科 教授 渡邉則昭
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 地熱発電や天然ガス開発など、国産エネルギー資源の開発では、地下深部の岩石にき裂を作り、流体の通り道を形成する水圧破砕技術が重要です。
- 高温の地下深部では注入流体が逃げやすく、岩石が割れにくい、または割れてもき裂が開きにくい場合があります。
- 植物や微生物に由来する成分を用いた反応性増粘流体破砕法(注1)により、流体の逃げを抑えながら岩石を化学的に弱め、注入圧力の上昇を抑えてき裂の発生・開口を促進できることが確認されました。
【概要】
地熱発電や天然ガス開発など、国産エネルギー資源の開発では、地下深部の岩石にき裂を作り、流体の通り道を形成する水圧破砕技術が重要です。しかし、高温の地下深部では水の粘度が低下し、注入流体が既存き裂や空隙に逃げやすくなります。そのため、岩石が割れにくい、または割れてもき裂が十分に開かない場合があります。一方、流体に粘性を持たせると逃げを抑えられますが、注入圧力が高くなりやすいという課題がありました。
今回、東北大学大学院環境科学研究科のEko Pramudyo特任助教、Luis Salalá特任助教、渡邉 則昭教授らの研究グループは、地熱・天然ガス貯留層を構成する代表的な岩石の一つである火山岩を対象に、植物由来原料から製造可能なキレート剤GLDA(注2)と微生物由来の増粘多糖類スクレログルカン(注3)を組み合わせた反応性増粘流体破砕法を開発しました。本手法は、流体の逃げを抑える粘性、岩石を弱める反応性、目詰まりを抑えるキレート作用を統合したものです。室内実験により、過度な破砕圧力の上昇を抑えながら、岩石中のき裂の発生・開口を促進する効果が確認されました。本成果は、国産エネルギー資源の開発に必要な貯留層刺激技術の高度化に貢献することが期待されます。
本成果は、国際学術誌Geothermicsに2026年7月13日付で掲載されました。
図1. 反応性増粘流体破砕法の概念図
【用語解説】
注1. 反応性増粘流体破砕法:岩石と反応する成分と、流体に粘性を与える成分を組み合わせた反応性増粘流体を用いて、地下の岩石にき裂を発生・開口させる水圧破砕法です。本研究では、岩石を化学的に弱めながら、流体の逃げを抑えてき裂を押し広げることを目指しました。
注2. GLDA: L-グルタミン酸二酢酸の略称です。グルタミン酸由来の生分解性キレート剤であり、金属成分と結合して水溶液中に保持する性質を持ちます。本研究では、岩石中の鉱物成分の溶解を促進し、岩石を局所的に弱化させる目的で用いました。
注3. スクレログルカン:微生物が生産する多糖類の一種です。水に粘性を与える増粘剤として利用され、高温でも粘性を保ちやすい特徴を持ちます。本研究では、注入流体の逃げを抑え、き裂の開口を促進する目的で用いました。
【論文情報】
タイトル:Reactive viscous fluid fracturing of volcanic rocks: chemical weakening offsets viscosity-induced pressure increase
著者:Eko Pramudyo*, Nagi Obata, Luis Salalá*, Jiajie Wang, Noriaki Watanabe*
*責任著者:東北大学 大学院 環境科学研究科 特任助教 Eko Pramudyo
東北大学 大学院 環境科学研究科 特任助教 Luis Salalá
東北大学 大学院 環境科学研究科 教授 渡邉 則昭
掲載誌:Geothermics
DOI:10.1016/j.geothermics.2026.103752
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学 大学院 環境科学研究科
教授 渡邉 則昭
TEL: 022-795-7384
Email: noriaki.watanabe.e6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院環境科学研究科
情報広報室
TEL: 022-752-2241
Email: kankyo.koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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