2026年 | プレスリリース・研究成果
分子アンテナにより光スイッチを高感度化 ―スマート材料・光医療への応用に期待―
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科化学専攻 助教 豊田良順
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 光捕集分子アンテナ(注1)とアゾベンゼン(注2)を複合化し、最高クラスの感度を持つ新規光スイッチ分子を開発しました。
- 光捕集アンテナ部位が可視光を効率的に吸収し、光エネルギーをアゾベンゼンへと輸送することで、鋭敏なスイッチング現象が誘起されることが理論・実験の双方から明らかになりました。
- 本研究では、安定なON/OFF状態と高感度な光スイッチングの両立に成功し、光スイッチ分子を基盤とするスマート材料の開発や光医療への応用に向けた新たな戦略を提供します。
【概要】
アゾベンゼン類をはじめとする光スイッチ分子は、外部刺激に応答して機能を変調するスマート材料の開発や、光励起による時空間選択的な薬効制御などに利用されています。このような応用のためには、高い光利用効率が必要となり、光スイッチの感度を向上させる戦略が求められています。
東北大学大学院理学研究科の千葉湧太大学院生、荘司吏温大学院生、高石慎也准教授、坂本良太教授、豊田良順助教の研究グループは、独ハインリヒ・ハイネ大学デュッセルドルフのミラ キム大学院生、シリン ファラジ教授との共同研究により、分子アンテナと複合化したアゾベンゼン誘導体を開発しました。分子アンテナによる可視光捕集とエネルギー移動によって、アゾベンゼン部位をトップクラスの感度で駆動させることに成功しました。本戦略は可視光に対して素早く応答するナノ材料や薬剤分子を実現するための新たな分子設計手法として期待されます。
本研究成果は、2026年8月19日付(日本時間)で科学誌Journal of the American Chemical Society にオンライン掲載されました。
図1. 分子アンテナによるアゾベンゼンの高感度スイッチングの模式図
【用語解説】
注1. 分子アンテナ:特定の波長の光を吸収し、得たエネルギーを受け渡す働きをする発色団。このような作用は光増感として知られ、自然界では光合成におけるクロロフィルが有名である。
注2. アゾベンゼン:2つのベンゼン環をN=N(窒素=窒素)二重結合で架橋した有機分子。トランス配座とシス配座の2状態をとり、光照射によって可逆に分子構造のスイッチングが起こる。様々な分野で活用されている代表的な光スイッチ分子である。
【論文情報】
タイトル:Molecular Antennae Enhance Visible-Light Sensitivity of Azobenzene Photoswitches
著者:Yuta Chiba, Rio Shoji, Mira Kim, Shinya Takaishi, Ryota Sakamoto, Shirin Faraji*, Ryojun Toyoda*
*責任著者:
ハインリッヒ・ハイネ大学デュッセルドルフ
教授 Shirin Faraji (シリン ファラジ)
東北大学大学院理学研究科化学専攻
助教 豊田 良順 (とよだ りょうじゅん)
掲載誌:Journal of the American Chemical Society
DOI:10.1021/jacs.6c12118
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科化学専攻
助教 豊田 良順 (とよだ りょうじゅん)
TEL:022-795-6547
Email:ryojun.toyoda.a8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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