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二次元層状材料量子ドットにおける高速測定手法を実証 ─次世代量子コンピュータの実現へ向け、二次元材料量子ビットの研究基盤を構築─

【本学研究者情報】

〇材料科学高等研究所/電気通信研究所 准教授 大塚朋廣
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 二層グラフェンや二硫化モリブデン(MoS2)などの二次元材料量子デバイスにおいて、これまで困難だった高感度な高周波反射測定を実現しました。
  • 量子常誘電体材料チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)を用いた可変コンデンサにより、高抵抗な量子ドットでもインピーダンス整合(注1を達成し、電荷状態を高感度に検出できることを示しました。
  • 本技術は二次元材料によるスピン・バレー量子ビット(注2の高速読み出しを可能にし、二次元材料を用いた量子ビット開発の加速につながることが期待されます。

【概要】

グラフェンに代表される二次元材料は、スピンやバレー自由度を活用した新しい量子ビットの実現が期待されており、次世代量子コンピュータの有力候補として注目されています。一方で、これらの量子デバイスは一般に電気抵抗が高いため、量子状態を高速/高精度に読み出す高周波測定の実現が困難でした。

東北大学、物質・材料研究機構からなる研究チームは、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)を用いた可変コンデンサを高周波共振回路に組み込むことで、グラフェン量子ドットおよびMoS2デバイスにおいて高感度な高周波反射測定を実現しました。特に、高抵抗な量子ドットと高周波回路との間でほぼ完全なインピーダンス整合を達成し、電子が一つずつ出入りする様子に対応した信号を明瞭に観測することに成功しました。さらに、本手法はスピン・バレー量子ビット動作に必要となる垂直磁場下でも安定に動作することを確認しました。ノイズ解析の結果から、本技術を用いることで従来の量子ドット電荷センサと同等以上の高感度な電荷検出が可能となり、将来的には高速量子ビット読み出しへの応用への道を開きました。これらの成果は、二次元材料を用いた量子コンピュータや量子デバイスの開発を支える基盤技術として重要な役割を果たすと期待されます。

本研究成果は、2026年8月20日(現地時間)に二次元材料分野の学術誌npj 2D materials and applicationsにオンライン掲載されました。

図1. (a) 本研究で用いた測定回路の概略図。 (b) 可変コンデンサを最適化し、量子デバイスのゲート電圧を変化させながら測定した高周波反射特性。

【用語解説】

注1. インピーダンス整合
電気回路において信号の最大電力伝達を実現する条件。送信側と受信側のインピーダンスを一致させることで、信号の反射を低くすることができる。

注2. スピン・バレー量子ビット
グラフェン中の電子が持つ「スピン」と「バレー」という二種類の量子状態を利用した量子ビット。Kramers量子ビットと呼ばれる。従来のスピン量子ビットはスピンの向きが変化することでビット情報が変化するが、スピン・バレー量子ビットではスピンとバレーの両方が同時に変化しなければならないため、量子状態が壊れにくく、極めて長いコヒーレンス時間が期待される。

【論文情報】

タイトル: Perfect impedance matching unlocks sensitive radio-frequency reflectometry in 2D material quantum dots
(完全インピーダンス整合が切り拓く二次元材料量子ドットにおける高感度高周波反射測定)
著者:Motoya Shinozaki*, Akitomi Shirachi, Yuta Kera, Tomoya Johmen, Shunsuke Yashima, Aruto Hosaka, Tsuyoshi Yoshida, Takeshi Kumasaka, Yusuke Kozuka, and Tomohiro Otsuka*
*責任著者:
東北大学材料科学高等研究所 特任助教 篠﨑基矢(現 産業技術総合研究所 研究員)、准教授 大塚朋廣
掲載誌:npj 2D materials and applications
DOI:10.1038/s41699-026-00730-0

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR)
(兼)東北大学 電気通信研究所
(兼)東北大学 大学院工学研究科
(兼)東北大学 Tohoku Quantum Alliance (TQA)
(兼)東北大学 先端スピントロニクス研究開発センター
准教授 大塚 朋廣
TEL: 022-217-5509
Email: tomohiro.otsuka*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)
広報戦略室
TEL: 022-217-6146
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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