2026年 | プレスリリース・研究成果
鉄粉と水のみから酸化鉄ナノ粒子を直接合成 ―超音波キャビテーションにより固体鉄-水界面を活性化し、 金属からナノ酸化物へ直接変換―
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科 准教授 林大和
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
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鉄粉と水のみを原料として、磁性をもつ酸化鉄ナノ粒子(注1)を直接合成する新しい超音波プロセスを開発しました。
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超音波キャビテーション(注2)の作用を利用することで、薬品を一切使わずに金属鉄からナノサイズの酸化物を合成できます。
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鉄系微粉や鉄スクラップなどを高付加価値な機能性材料へ転換する、環境負荷の低い省資源型プロセスへの展開が期待されます。
【概要】
酸化鉄ナノ粒子は、医療・バイオ分野や環境・エネルギー分野など幅広い用途で利用される重要な機能性材料です。しかし一般的な合成方法では、鉄を含む薬品(鉄塩)や沈殿剤などが不可欠であり、後処理の工程も必要でした。
東北大学大学院工学研究科の林大和准教授、滝澤博胤教授、吉川円香大学院生らの研究グループは、鉄粉と水だけを出発原料として、スピネル型酸化鉄(注3)ナノ粒子を直接合成する新しい超音波プロセスを開発しました。
本研究は、超音波水中に生じる微小な気泡の作用を利用して、通常はゆっくり進む鉄と水の反応を促進するものです。従来の「薬品を用いた溶液からの沈殿」とは異なり、金属である鉄からナノスケールの酸化鉄へ直接転換するsolid-liquid metal-to-oxide変換(注4)という新たな材料合成の概念を示す画期的な成果です。
本研究成果は、国際学術誌Ultrasonics Sonochemistryに2026年8月27日付で掲載されました。
図1. 超音波キャビテーションによる鉄粉から酸化鉄ナノ粒子への直接変換
【用語解説】
注1. ナノ粒子:一般に数nmから100 nm程度の大きさを持つ微粒子。物質をナノメートルサイズまで小さくすると、大きな比表面積や特有の磁気特性など、バルク材料とは異なる性質が現れる場合がある。
注2. 超音波キャビテーション:液体中に超音波を照射すると、圧力変動によって微小な気泡が発生・成長し、最終的に急激に崩壊します。この現象を超音波キャビテーションと呼ぶ。気泡崩壊時には極めて局所的な高温・高圧反応場が形成されるほか、マイクロジェットや衝撃波が発生する。これらにより化学反応の促進、固体表面の侵食・破壊・更新などが引き起こされる。
注3. スピネル型酸化鉄:マグネタイト(Fe3O4)やマグヘマイト(γ-Fe2O3)などが有する結晶構造の酸化鉄。
注4. solid-liquid metal-to-oxide変換:金属を一度水溶性の金属塩などに変換し、そこから酸化物を沈殿させるのではなく、固体金属と液体との界面反応を利用して、金属そのものから酸化物を直接形成する材料変換である。
【論文情報】
タイトル:Reagent-free sonochemical synthesis of iron oxide nanoparticles from iron powder and water promoted by acoustic cavitation
著者:Madoka Yoshikawa, Hirotsugu Takizawa, Yamato Hayashi*
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 准教授 林 大和
掲載誌:Ultrasonics Sonochemistry
DOI:10.1016/j.ultsonch.2026.108028
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
准教授 林 大和
TEL:022-795-7226
Email: yamato.hayashi.b6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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