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ルテニウム原子を炭素材料に高密度固定することに成功 ―CO2を高選択的にギ酸へ変換、希少な貴金属を有効利用する触媒材料開発に期待―

【本学研究者情報】

〇多元物質科学研究所/材料科学高等研究所 准教授 吉井丈晴
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 前駆体(注1)の分子設計を拡張し、その構造を精密に設計して炭素化(注2)することで、凝集(注3)しやすいルテニウム(Ru)(注4)を最大11重量%含みながら、原子1個ずつ分散した状態で炭素材料中に固定化した「単原子触媒」(注5)を開発しました。
  • 開発した触媒を二酸化炭素(CO2)の水素化反応に用いたところ、99%以上の選択率で有用化学品であるギ酸(注6)を生成しました。繰り返し使用してもRu原子の凝集は見られず、安定した触媒性能を示しました。
  • Ruに限らず、多様な貴金属を単原子状態で高密度に固定化する新しい材料設計指針につながることが期待される成果です。

【概要】

金属原子を一つひとつ孤立させて固定化した単原子触媒は、金属資源を効率よく利用できる次世代触媒として注目されていますが、Ruのような貴金属は含有量を増やすと原子同士が凝集しやすく、高密度な単原子触媒の実現が困難でした。

東北大学、筑波大学、京都大学、アイントホーフェン工科大学、金沢大学および大阪大学の研究グループは、Ruを含む前駆体の分子構造を精密に設計し、これを炭素化するボトムアップ合成法(注7)により、最大11重量%のRuを単原子状態で炭素材料中に固定化することに成功しました。得られた触媒をCO2の水素化反応に適用し、99%以上の選択率でギ酸を生成するとともに、繰り返し使用してもRu原子の凝集が見られず、触媒性能が維持されることを実証しました。本成果は、凝集しやすい貴金属を高密度に単原子状態で固定化する新しい材料設計指針を示すものです。

本研究成果は、2026年9月3日(中央ヨーロッパ時間)に、ドイツ化学会の学術誌 Angewandte Chemie International Editionに掲載されました。

図1.(a)本研究で前駆体として使用したRuターピリジル錯体。(b)ボトムアップ合成手法によりOCFが得られる様子。(c)得られたRu-OCFのHAADF-STEM像。

【用語解説】

注1. 前駆体
目的とする材料をつくるための原料。本研究では、Ruを含む炭素材料の原料として用いた分子を指す。

注2. 炭素化
有機物を酸素がほとんど存在しない条件で加熱し、炭素を主成分とする材料へと変換すること。

注3. 凝集
分散していた原子が互いに集まり、粒子を形成する現象。単原子触媒では、金属原子が凝集すると単原子状態が失われる。

注4. ルテニウム(Ru)
白金やパラジウムと同じ白金族元素の一つ。希少な貴金属であり、水素化反応などさまざまな化学反応の触媒として利用されている。

注5. 単原子触媒
金属を原子1個ずつ孤立した状態で担体上に固定した触媒。金属原子を効率よく触媒反応に利用できるため、貴金属の使用量を抑えながら高い触媒性能を得られる材料として注目されている。

注6. ギ酸
最も単純なカルボン酸の一種。繊維・皮革の加工や化学製品の原料として利用されるほか、水素を効率よく貯蔵・輸送できる「液体有機水素キャリア」としても注目されており、カーボンニュートラル社会を支える有用な化学品として期待されている。

注7. ボトムアップ合成法
分子などの構成単位を一つひとつ組み上げるようにして、大きな目的材料を合成する方法。

【論文情報】

タイトル:Polypyridyl Coordination Motifs as Precursors for Ordered Carbonaceous Frameworks toward High-Density Ru Single-Atom Catalysts
著者:Koki Chida, Tan-Hao Shi, Takeharu Yoshii*, Yuichiro Hayasaka, Yu Gao, Hao Zhang, Nikolay Kosinov, Shigehisa Akine, Kazuhide Kamiya, Kaining Li, Yoshifumi Kondo, Yasutaka Kuwahara*, Tomoki Ogoshi*, Hirotomo Nishihara
*責任著者:東北大学多元物質科学研究所 准教授 吉井 丈晴
大阪大学 大学院工学研究科 准教授 桒原 泰隆
  京都大学大学院工学研究科 教授 生越 友樹
掲載誌:Angewandte Chemie International Edition
DOI:10.1002/anie.6197340

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
准教授 吉井丈晴
TEL: 022-217-5627
Email: takeharu.yoshii.b3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)
広報戦略室
TEL: 022-217-6146
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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