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超伝導の波に隠された「もう一つの周期」を発見! ―共鳴軟X線散乱が解き明かす未踏の電子秩序―

【本学研究者情報】

〇金属材料研究所 教授・藤田全基
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 超伝導を担う電子対の密度が空間的に波打つ「ペア密度波(PDW)(注1)」は、高温超伝導の複雑な性質を理解する鍵として注目されています。
  • 共鳴軟X線散乱(注3)により、La系銅酸化物で、主要な電荷密度波(CDW)(注4)の二倍の周期を持つ弱い「サブハーモニック応答(注2)」を観測しました。
  • PDW相関と整合するこの応答は、物質の電子状態を探る指標になります。

【概要】

La系銅酸化物高温超伝導体において、超伝導を担う電子対が空間的に周期変調するペア密度波(PDW)は、超伝導発現の観点から注目されています。しかし、これまでペア密度波を示唆する間接的な証拠は報告されていたものの、PDWに期待されるサブハーモニック応答は見つかっていませんでした。

東北大学金属材料研究所の藤田全基教授、SLAC国立加速器研究所のJun-Sik Lee上級科学者を中心とする国際研究チームは、Sr置換LBCOとFe置換LSCOという化学的に異なる物質を対象に、選択的な共鳴軟X線散乱法を用いて銅の電子状態を調べ、微弱なサブハーモニック応答を検出することに成功しました。この応答は、通常の電荷密度波(CDW)のおよそ二倍に当たる周期の波であるという特徴を持ちます。さらに、この応答が現れる温度域を特定することから、PDWが一様な超伝導やストラプ秩序(注5)と共存・干渉する特徴を持つことを明らかにしました。

今回の発見は、PDW秩序の単独証明ではありませんが、物質内部のPDW相関を検証するための新しい実験的手がかりとして位置づけられます。

本研究内容は、2026年8月31日にPhysical Review Bにオンライン掲載され、編集部推薦論文(Editors' Suggestion)に選ばれました。

図1. La系銅酸化物における絡み合った電子秩序の模式図。冷却に伴いCDW・スピン密度波・PDW相関・三次元超伝導が異なる温度領域で発達する。PDW変調は、主要なCDWの約2倍の実空間周期(4aに対して8a)を取り得る。

【用語解説】

注1. ペア密度波(PDW)
超伝導を担う電子対の凝縮の強さや位相が、空間的に周期変化する状態。通常の一様な超伝導とは異なり、電子対そのものが波状の構造をもつ。

注2. サブハーモニック応答
主要な周期構造の整数分の1の波数に現れる応答。本研究では主要なCDW波数の約半分で観測され、実空間では約2倍の周期に対応する。

注3. 共鳴軟X線散乱(RSXS)
特定元素の吸収端にX線エネルギーを合わせ、電子状態に由来する散乱を高感度で調べる手法。本研究では銅L3端を用い、電荷秩序の運動量依存性を測定した。

注4. 電荷密度波(CDW)
電子密度が結晶中で周期的に濃淡をつくる状態。La系銅酸化物では、およそ4格子間隔の周期をもつストライプ状の電荷秩序が現れる。

注5. ストライプ秩序
電荷とスピンの分布が一方向に周期変調し、しま模様をつくる電子秩序。La系銅酸化物で顕著に観測される。

【論文情報】

タイトル:Observation of subharmonic charge density wave correlations in La-based cuprates
著者:J. -S. Lee*, S. A. Kivelson, H. Lee, T. Wang, Y. Ikeda, T. Taniguchi, C. -T. Kuo, M. Fujita, and C. -C. Kao
*責任著者:スタンフォード線形加速器国立研究所 上級科学者 Jun-Sik Lee
掲載誌:Physical Review B
DOI:https://doi.org/10.1103/djbs-mcz5

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学金属材料研究所 
教授 藤田全基
TEL: 022-215-2035
Email: fujita*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学金属材料研究所
情報企画室広報班
TEL: 022-215-2144
Email: press.imr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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