2026年 | プレスリリース・研究成果
明るく素早く応答するX線検出用 新規ガーネット型シンチレータの開発に成功
【本学研究者情報】
〇未来科学技術共同研究センター 教授 鎌田圭
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- セリウムとマグネシウムを添加したYAGG結晶(注1)で、高い発光量と高速応答・残光の低減を両立し、高性能なX線検出材料を開発しました。
- 日本・チェコ・ドイツ・ラトビアの国際共同研究により、結晶組成とセリウムの価数制御(注2)が、発光性能を高めることに成功しました。
- 高精細・高速なX線イメージングや高エネルギー物理学検出器への応用が期待されます。
【概要】
医療画像診断や工業製品の検査に使われるX線画像技術では、X線を光に変換するシンチレータ(注3)の性能が重要です。高い発光量と高速応答、照射後に残る光(残光)の低減が求められますが、応答を速めると発光量が低下するなど、これらの両立が課題でした。
東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe)の鎌田圭教授、同大学金属材料研究所(IMR)の吉川彰教授(NICHe兼務)、同大学大学院工学研究科の末積尚人大学院生らは、株式会社C&A、チェコ科学アカデミー物理学研究所(FZU)、ドイツ電子シンクロトロン(DESY)、ラトビア大学固体物理学研究所などとの国際共同研究により、セリウムとマグネシウムを添加したYAGG結晶の発光特性を大幅に改善して発光性能を高め、小魚や電子部品の内部構造をX線撮影で可視化に成功しました。本成果は、材料開発から発光機構の検証、画像実証までを国際連携で進めたもので、次世代X線イメージングや高エネルギー物理学用ガンマ線検出器を支える検出材料への応用が期待されます。
本研究成果は、2026年10月3日に国際学術誌Laser & Photonics Reviewsに掲載されました。
図1. Y3(Al,Ga)5O12ガーネット構造にCeのみ、Ce,Mgを共添加した結晶の外観(左図)と、各試料の X線吸収分光スペクトル(右図)。Mgを共添加したサンプルでは、Ce3+に加えてCe4+の存在が確認できる。
【用語解説】
注1. YAGG・GAGG・LuAG:Ce:ガーネット構造の酸化物。YAGGはY3(Al,Ga)5O12、GAGGはGd3(Al,Ga)5O12、LuAGはLu3Al5O12を表す。「:Ce」はセリウムの添加を示す。
注2. 価数制御:イオンの電荷状態を調整すること。本研究ではMg2+を共添加し、結晶の電気的中性を保つ電荷補償によってCe4+を安定化する。
注3. シンチレータ:放射線を吸収し、そのエネルギーを可視光などに変換する材料。光センサやカメラと組み合わせて放射線を検出する。
【論文情報】
タイトル:Host-Dopant Engineering of Ce4+-Dominant Y3(Al,Ga)5O12:Ce,Mg Scintillators for High-Performance X-ray Imaging
著者:Hisato Suezumi, Kei Kamada*, Karol Bartosiewicz*, Masao Yoshino, Liudmila Gushchina, Vladimir Babin, Yevheniia Smortsova, Nadiya Zhutova, Vladimir Pankratov, Alena Beitlerova, Martin Nikl, Kohei Nakanishi, Rikito Murakami, Satoshi Ishizawa, Yuui Yokota, Akira Yoshikawa
*責任著者:東北大学未来科学技術共同研究センター 教授 鎌田圭、チェコ科学アカデミー物理学研究所 Karol Bartosiewicz
掲載誌:Laser & Photonics Reviews(e71959)
DOI:10.1002/lpor.71959
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学未来科学技術共同研究センター
教授 鎌田 圭
TEL: 022-215-2214
Email: kei.kamada.c6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学未来科学技術共同研究センター 広報
TEL: 022-795-4004
Email: niche-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)