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再建した顎骨の「骨質」を多面的に調べる手法の確立へ ―3D画像と光の分析で、微細構造と成分を解明―

【本学研究者情報】

〇大学院歯学研究科 助教 柳沢佑太
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 再建した顎骨の質を評価する方法は、これまで確立されておらず、骨の微細構造や成分を正確に把握できない課題がありました。
  • 患者自身の骨(自家骨)で再建した顎骨(9例)について、micro-CT(注1)とラマン分光法(注2)で解析し、全例で骨が再生していること、および構造や成分には個人差があることを明らかにしました。
  • 骨の構造と成分の両面から評価する本手法の活用により、今後の再生骨の骨強度(注3)に関する評価法が発展し、骨の状態をより詳しく把握できるようになることが期待されます。

【概要】

腫瘍切除などの治療によって顎骨を大きく失った場合、患者自身の骨を移植して顎骨を再建します。近年、骨の評価では骨密度だけでなく、骨の構造や成分の指標である「骨質」が注目されています。しかし、実際の臨床現場では骨密度による評価が中心で、移植した骨の骨質の評価は十分ではありません。

東北大学大学院歯学研究科の柳沢佑太助教らの研究グループは、自家腸骨海綿骨細片(PCBM)(注4)による顎骨再建を受けた患者9名から、再建6か月後に採取した骨をmicro-CTとラマン分光法で解析しました。その結果、すべての患者で層板骨(注5)を伴う新しい骨の形成が確認された一方、微細構造や成分には個人差があることが分かりました。

本研究は、再建した顎骨の骨質を構造と成分の両面から評価する方法の実現可能性を示したもので、今後の再生骨の骨質評価法の発展につながることが期待されます。将来的には患者ごとの骨の状態をより詳しく把握し、治療計画や治療時期を適切に判断することにつながる可能性があります。

本研究成果は、学術誌Scientific Reportsに2026年9月27日付でオンライン公開されました。

図1. 患者から採取した再生骨と測定部位 骨の表層(赤)と深部(青)をレーザー光で測定しました。実体顕微鏡像では、表層と深部で異なる骨表面の構造が観察されました。

【用語解説】

注1. micro-CT:X線を用いて、骨の内部構造を立体的(3次元化)かつ微細に観察する方法。

注2. ラマン分光法:光を当てて得られる信号から、物質に含まれる成分やその状態を調べる方法。

注3. 骨強度:骨が外力に耐え、破壊されにくい性質のこと。骨密度と骨質の両方によって規定される。

注4. 自家腸骨海綿骨細片(PCBM:Particulate Cancellous Bone and Marrow):患者本人の骨盤(腸骨)から採取する海綿骨と骨髄を含む骨片で、顎骨などの再建に広く用いられる。

注5. 層板骨:骨の組織が規則正しく層状に配列した、成熟した骨。

【論文情報】

タイトル:Feasibility of micro-CT and Raman spectroscopic characterization of human jaw bone regenerated with particulate cancellous bone and marrow
著者:Yuta Yanagisawa *, Shinki Koyama, Hiromitsu Morishima,
Shinnosuke Nogami, & Kensuke Yamauchi
*責任著者:
東北大学大学院歯学研究科 顎顔面口腔再建外科学分野 助教 柳沢佑太
掲載誌:Scientific Reports
DOI:10.1038/s41598-026-72366-5

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
顎顔面口腔再建外科学分野
助教 柳沢佑太
TEL: 022-717-8350
Email: yuta.yanagisawa.a2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
広報室
TEL: 022-717-8260
Email: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)