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貝毒の強さを神経細胞の電気信号で評価 ―貝類の安全性検査に向けた高感度な電気生理学的評価法の基盤を構築―

【本学研究者情報】

〇農学研究科 准教授 此木 敬一
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 麻痺性貝毒(Paralytic Shellfish Toxins, PSTs(注1))の毒性を、マウス由来の神経細胞(Neuro 2a細胞)の電気信号(電気依存性ナトリウムチャネル(注2))の測定により、評価しました。
  • 貝毒標準品と複数の二枚貝の抽出物を用いた試験により、国内の出荷規制値(0.8 mg STX・2HCl当量/kg可食部)を下回る毒性レベルでも、細胞におけるナトリウムチャネルの阻害作用が検出されました。
  • 電気生理学的に推定したPSTsの毒性値は、質量分析計LC-MS/MSによる分析値と高い相関(相関係数 r=0.90)を示し、本手法が麻痺性貝毒のスクリーニング検査への応用につながる可能性が示されました。

【概要】

貝類に蓄積する麻痺性貝毒(PSTs)は食中毒を引き起こすおそれがあるため、食品の安全性を確保するうえで、毒性を適切に評価することが重要です。

東北大学大学院農学研究科の此木敬一准教授らの研究グループは、神経細胞の電気的な応答を測定することで、貝類に蓄積する麻痺性貝毒(PSTs)を評価する方法を検討しました。サキシトキシン(Saxitoxin, STX)を代表とするPSTsは神経の情報伝達に必要な電位依存性ナトリウムチャネル(Nav)を阻害します。この性質に着目し、マウス由来の培養神経細胞Neuro 2a(N2a)を用いて、貝毒標準品とホタテガイなどの二枚貝の抽出物を測定したところ、国内の出荷規制値(800 µg STX・2HCl当量/kg可食部)を大きく下回る貝毒レベルであっても、検出することができました。また、毒性値に対してNav電流値をプロットした検量線で推定した各二枚貝抽出物の毒性値は、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)(注3)の測定値と高い相関(r=0.90)を示しました。本成果は、培養細胞を用いた貝毒スクリーニング法の開発につながる基礎的な知見です。今後の実用化には、測定の迅速化や精度の向上、より多くの試料を用いた検証が必要です。

本研究成果は、2026年10月19日に国際学術誌Marine Drugsに掲載されました。

図.研究の概要

【用語解説】

注1. 麻痺性貝毒(PSTs):サキシトキシン(STX)など、神経のナトリウムチャネルを阻害する毒素群。

注2. 電位依存性ナトリウムチャネル(Nav):神経細胞などの膜に存在し、電気信号の発生に必要なナトリウムイオンの流れを制御するタンパク質。

注3. LC-MS/MS:液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析を組み合わせ、試料中の化合物を分析する方法。

【論文情報】

タイトル:Electrophysiological Evaluation of Paralytic Shellfish Toxins in Bivalves
著者:Runa Yonekura, Satoshi Numano, Ryuichi Watanabe*, Ikkei Yoshida, Fumiko Obara, Junko Okumura, Yuko Cho, Yuta Kudo, Kazuo Nagasawa, Mari Yotsu-Yamashita, Keiichi Konoki*
*責任著者:国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所 渡邊龍一、東北大学大学院農学研究科 准教授 此木敬一
掲載誌:Marine Drugs
DOI:10.3390/md24100365

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院農学研究科
天然物生命化学分野
准教授 此木 敬一
TEL: 022-757-4426
Email: keiichi.konoki.b2*tohoku.ac.jp(*は@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科広報室
TEL: 022-757-4034
Email: agr-koho*grp.tohoku.ac.jp(*は@に置き換えてください)