本文へ ナビゲーションへ
ここから本文です

歯の喪失、認知症の主要リスク因子に匹敵 ―口腔の健康維持が認知症予防の重要な戦略となる可能性―

【本学研究者情報】

〇大学院歯学研究科 教授 竹内研時
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 高齢者約4.7万人を対象とした9年間の追跡データを用いて、歯の喪失が認知症発症に与える人口レベルでの寄与度(人口寄与割合:PAF(注1))を算出し、既知の12の修正可能なリスク因子と比較しました。
  • 歯の喪失(現在歯数20本未満)による認知症の人口寄与割合は全体で7.2%であり、国際的ガイドライン(Lancet Commission 2024)で示された12のリスク因子と比較して、抑うつ、社会的孤立に次ぐ第3位でした。特に男性では第1位の寄与度を示しました。
  • 歯の喪失が既知のリスク因子と同等以上に認知症発症に寄与する可能性が示唆され、口腔の健康維持が認知症予防の重要な戦略として、将来的にガイドラインや公衆衛生施策に反映されることが期待されます。

【概要】

世界的に認知症が増加する中、歯の喪失と認知症発症リスクの関係を示す研究データが集積されつつあります。しかし、その寄与度を他の主要なリスク因子と比較検証した大規模研究はありませんでした。

東北大学医学部医学科の岩田真歩学部生、大学院歯学研究科の竹内研時教授らの研究グループは、日本における65歳以上の高齢者約4万7,000名を9年間追跡した日本老年学的評価研究(JAGES)(注2)のデータを用いて、歯の喪失および既知の12の修正可能なリスク因子が認知症発症に及ぼす人口寄与割合を推計しました。分析の結果、歯の喪失(現在歯数20本未満)が認知症発症全体の7.2%の発症に関与している可能性が示されました。これは抑うつ傾向(10.5%)、社会的孤立(9.4%)に次ぐ第3位(男性では12.0%で第1位)に位置し、歯の喪失が既存のリスク因子に匹敵、あるいはそれを上回る寄与度を持つことが明らかになりました。

本研究成果は2026年11月2日、学術誌Journal of the American Medical Directors Associationに掲載されました。

図1. 13のリスク因子の認知症発症の人口寄与割合(PAF)

【用語解説】

注1. 人口寄与割合(Population attributable fraction:PAF):「もし特定の危険因子が存在しなかったと仮定した場合、全体の認知症のうち、どの程度が防げた可能性があるか」を示す指標。例えば、人口寄与割合が10%であれば、「理論的には、その因子がなければ認知症の10%は起こらなかった可能性がある」ことを意味する。

注2. 日本老年学的評価研究(JAGES):65歳以上の地域在住高齢者を対象に、健康や暮らしに関する調査を3年に一度実施し、健康長寿社会の実現に向けた予防政策の科学的な基盤づくりを目指す研究プロジェクト。

【論文情報】

タイトル:Comparative Population Impact of Oral Health and Established Modifiable Risk Factors for Dementia: A 9-year Population-Based Cohort Study
著者:Maho Iwata, Taro Kusama, Jun Aida, Tatsuo Yamamoto, Kokoro Shirai, Ken Osaka, Kenji Takeuchi*
*責任著者:東北大学大学院歯学研究科 データサイエンス分野 教授 竹内研時
掲載誌:Journal of the American Medical Directors Association(JAMDA)
DOI:10.1016/j.jamda.2026.106536

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
データサイエンス分野
教授 竹内 研時
Email: kenji.takeuchi.c4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
広報室
TEL: 022-717-8260
Email: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)