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2011年東北地方太平洋沖地震後の プレート間固着の回復過程を解明 ―プレート境界におけるエネルギー蓄積の再開を示唆―

【本学研究者情報】

〇東北大学災害科学国際研究所 助教 富田史章
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 14年間にわたる長期・高密度な海底地殻変動観測で得られたデータ、および陸上の地殻変動観測、繰り返し地震活動の観測結果を数値モデルで分析することにより、2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)後の日本海溝沿いのプレート境界の挙動を詳細に解明しました。
  • 地震発生後に続いていたプレート境界でのゆっくりすべり(余効すべり(注1))は、地震後約10年でほぼ終息し、プレート境界の固着(注2)が地震前の状態まで回復したことを明らかにしました。
  • これらの結果は、プレート境界周囲のマントル内部では応力緩和(粘弾性緩和(注3))が依然として続く一方で、プレート境界断層ではすでに、次の地震に向けたエネルギー蓄積が再開していることを意味しています。

【概要】

2011年東北地方太平洋沖地震のような超巨大地震の後、プレート境界断層がどのように、またどのくらいの期間を経て再び固着し、次の地震に向けたひずみを蓄積し始めるのかは、極めて重要な課題です。東北大学災害科学国際研究所、同大学院理学研究科、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京大学地震研究所、ヴィクトリア大学、カナダ地質調査所、東北大学・海洋研究開発機構変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)の国際共同研究チームは、地震発生後14年間にわたり日本海溝沿いで海底地殻変動観測を実施し、超巨大地震後のプレート境界の再固着プロセスの全貌を世界で初めて詳細に描き出しました。

本研究成果は2026年11月5日の国際学術誌 Science に掲載されました。

図1. 海底地殻変動観測(GNSS-A観測)による観測方式の概念図、および観測機器。(a)GNSS-A観測による観測方式の概念図、(b) GNSS-A観測に用いたウェーブグライダーの写真、(c)東北沖のGNSS-A観測点に設置した音響測距装置(海底局)の写真、をそれぞれ示す。

【用語解説】

注1. 余効すべり:大地震の発生後、本震で破壊された領域の周辺が、ゆっくりとすべり続ける現象のこと。本震のような破壊的な地震波(強い揺れ)や津波を出さずに進行するが、地表や海底の観測機器ではゆっくりとした地殻変動として捉えられる。この余効すべりが発生している領域は、固着とは逆に、大地震発生前に蓄積された歪みを解放している状態にある。

注2. 固着:海側のプレートが陸側のプレートの下へ沈み込む際、境界部分が強い摩擦力によってぴったりと密着し、陸側のプレートを引きずり込みながらひずみを蓄積する状態を指す。固着が強い領域では長期間にわたって大きなひずみが蓄積され、将来的に再び大地震を引き起こすと考えられている。大地震の直後は摩擦熱や破壊によって固着が一時的に失われるが、時間の経過とともに再び固着力が高まっていく(再固着)。

注3. 粘弾性緩和:地震によって地下深くのマントルなどの粘弾性媒質に急激な力がかかったあと、その力を逃がすように岩石が非常に長い時間をかけてゆっくりと変形する現象のこと。粘弾性緩和によって、大地震発生後の長期にわたって広域の地殻変動がもたらされる。

【論文情報】

タイトル:Seafloor geodesy delineates fast megathrust relocking after the giant 2011 Tohoku earthquake
著者:富田史章*(1)(2)(3)、Tianhaozhe Sun(4)(5)、木戸元之(1)(3)、飯沼卓史(6)、内田直希(7)(3)、太田雄策(3)(2)(1)、日野亮太(3)(1)、Jiangheng He(4)、Kelin Wang(4)(5)
(1)東北大学災害科学国際研究所
(2)東北大学・海洋研究開発機構変動海洋エコシステム高等研究所
(WPI-AIMEC)
(3)東北大学大学院理学研究科
(4)カナダ地質調査所
(5)ヴィクトリア大学
(6)海洋研究開発機構(JAMSTEC)
(7)東京大学地震研究所
*責任著者:東北大学災害科学国際研究所 助教 富田史章
掲載誌:Science
DOI:doi.org/10.1126/science.aeg7301

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学災害科学国際研究所
助教 富田史章
TEL: 022-752-2070
Email: fumiaki.tomita.d8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
※11月6日は東北大学災害科学国際研究所広報室へお問い合わせください。

(報道に関すること)
東北大学災害科学国際研究所 広報室
TEL: 022-752-2049
Email: irides-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)