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フェロトーシス細胞死のコレステロール酸化を捉える ―脂質の酸化メカニズムをコレステロールの構造変化から解析―

【本学研究者情報】

〇大学院薬学研究科 教授 斎藤芳郎
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 鉄に依存する細胞死「フェロトーシス(注1)」の進行過程で、細胞内のコレステロールがラジカル反応(注2)により酸化されることを発見しました。
  • コレステロールの7位に生じる酸化物(注3)を経時的に測定し、細胞の生存率が低下する前から蓄積することを示しました。
  • コレステロール酸化物の分析が、フェロトーシスに伴う脂質の酸化を評価する指標となる可能性を示しました。

【概要】

フェロトーシス研究では、主にリン脂質の酸化に注目が集まっていましたが、コレステロールがいつ、どのように酸化されるかについては、十分に分かっていませんでした。

東北大学大学院薬学研究科の秋場湧太学部生、有澤琴子助教、斎藤芳郎教授らの研究グループは、鉄に依存して脂質の酸化が進む細胞死「フェロトーシス」において、細胞膜の主要成分であるコレステロールも酸化の標的となることを明らかにしました。

研究グループは、ヒト由来の神経培養細胞にフェロトーシスを誘導し、脂質の酸化、コレステロール酸化物の蓄積、細胞の生存率の変化を経時的に解析しました。その結果、細胞の生存率が明らかに低下する前から、コレステロールの7位に由来する酸化物が蓄積することを見いだしました。特に、7β体の増加から、ラジカル反応によってコレステロールが酸化されていると考えられました。本成果は、フェロトーシスに伴う脂質の酸化において、リン脂質だけでなくコレステロールも標的となることを示しており、今後、コレステロール酸化物の細胞死誘導に与える影響の解明が期待されます。

本研究は、2026年10月28日、学術誌「EXO - Beyond the Cell」に掲載されました。

図1. 本研究の概要:フェロトーシス誘導におけるコレステロールの酸化

【用語解説】

注1. フェロトーシス:鉄に依存した脂質の過酸化を伴う、制御された細胞死の一種。脂質の過酸化の際、ラジカル反応を伴うことが知られる。

注2. ラジカル反応:不対電子を持つ反応性の高い分子などが関与する化学反応。脂質の酸化が連鎖的に進む際に重要な役割を担う。

注3. コレステロールのC7酸化:コレステロール分子の7番目の炭素(C7)の位置に起こる酸化。ラジカル酸化反応では、このC7に由来する酸化が進むことが知られている。

【論文情報】

タイトル:Radical-mediated C7 cholesterol oxidation during erastin-induced ferroptosis
著者:Yuta Akiba, Kotoko Arisawa, Takayuki Kaneko, Kei Ishida, Emiko Sato, Takashi Toyama, Yoshiro Saito*
*責任著者:東北大学大学院薬学研究科 教授 斎藤芳郎
掲載誌:EXO - Beyond the Cell
DOI:10.70401/EXO.2026.0022

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院薬学研究科
教授 斎藤芳郎
TEL: 022-795-6870
Email: Yoshiro.saito.a8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院薬学研究科
総務係
TEL: 022-795-6801
Email: ph-som*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)