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東北大学総長冨永悌二

東北大学に入学された皆さん、おめでとうございます。本日ここに、学部生2,514名、大学院2,685名の皆さんをこの東北大学に迎えることができました。

東北大学を代表して、皆さんの入学を心から歓迎します。また、これまで勉学や生活をさまざまな形で支え、励ましてこられたご家族、そして関係者の皆様に、心よりお喜びを申し上げます。

東北大学の現在の姿

皆さんが今日からその一員となる東北大学は、10の学部と15の大学院研究科、3つの専門職大学院、6つの附置研究所と、国内最大規模の国立大学病院などを有する、日本を代表する総合研究大学です。仙台市街地の片平、星陵、川内、青葉山地区の優れた環境の中に5つのキャンパスがあり、94カ国からの2,000名を超える留学生を含む、17,000名以上の学生が学んでいます。海外に24の拠点を持ち、年間を通じて非常に多くの研究者が世界と行き交う、まさに多様な知が交差する国際的な舞台でもあります。

東北大学の歴史

1907年の建学以来、本学は「研究第一」「門戸開放」「実学尊重」という3つの理念を掲げ、世界に開かれた大学として社会の発展に貢献してきました。

まず「研究第一」について。創建当時から、単に知識を海外から取り入れるだけでなく、世界に劣らない研究を行うという確固たる志を持ち、あのアルベルト・アインシュタイン博士に、本学の物理学教授としての招聘を打診しました。ノーベル賞受賞のずっと以前の話です。実現しませんでしたが、ノーベル賞受賞後来日の際に、本学を訪れ、理論物理学や金属材料の研究水準の高さに深い関心を示されました。

また、1913年に社会的圧力に屈することなく日本で初めての女子大学生3名を受け入れ、また早くから中国の文豪魯迅など留学生を受け入れてきました。多様性を力とする「門戸開放」の歴史であり、現在もDEIを推進しています。

真理を探究するだけでなく、そこで生み出された知的価値を社会に実装し、具体的な社会価値の創造へと繋げていく「実学尊重」。これら3つの理念に通底する、常識にとらわれず変化を恐れずに挑戦する姿勢こそが、私たち東北大学が脈々と受け継いできたDNAそのものです。この変革の精神こそが、まさにいま私たちが直面している予測困難な時代を生き抜き、未来をリードするために必要とされています。

東北大学の卓越した研究と社会共創

現在、私たち東北大学は、こうした確固たる基盤と世界最先端の研究施設や研究基盤を最大限に活用し、皆さんと共により良い未来の社会を創り出そうとしています。

たとえば、AIが私たちの暮らしのあらゆる場面に浸透していく現代、データ処理に伴う莫大な電力消費は、地球規模の大きな課題となっています。私たちは、これまでにない省電力半導体を開発し、また青葉山新キャンパスに誕生した100万分の1mmのナノの世界を観察する次世代放射光施設ナノテラスを活用して、革新的な材料やデバイスを開発することで、持続可能な社会の実現を目指しています。

医療の分野においては、未来型医療創成センターや東北メディカル・メガバンク機構を中心に、15万人という巨大な健康データを活用した研究が進んでいます。一人ひとりの遺伝情報や生活習慣などをビッグデータとして解析し、その人に最も適した治療や予防法を提供する「個別化医療」を確立することで、誰もが健康で豊かに生きられるウェルビーイング社会の実現に貢献しています。

さらに防災・減災の分野では、災害科学国際研究所などを中心に、文系と理系の枠を超えた実践的な研究を世界に向けて発信しています。大規模な地震が発生した際、スーパーコンピュータを用いて津波の高さや浸水範囲、さらには建物などの被害状況を自動で予測する「リアルタイム津波浸水・被害推計システム」を開発し、内閣府にも採用され、国内外の津波予測の基盤として役立っています。私たちはこうした科学の力を通じて、世界中の人々を自然災害から守るための強靭でしなやかな社会づくりに全力で取り組んでいます。

国際卓越研究大学

さて、私たちがすでに有しているこれらの卓越した研究実績と、世界に伍する研究大学を目指すための計画は、国に高く評価され、本学は一昨年、わが国最初の「国際卓越研究大学」に認定されました。これは、世界最高水準の研究大学としての地位を確固たるものとすることを目的に、最長25年間にわたり類例のない財政支援を受けるという、日本の大学の枠組みを大きく変革する全く新しいプロジェクトです。

この認定は、本学がこれまで培ってきた卓越した研究力を基盤として、さらなる高みへと飛躍するためのものです。私たちは、日本の研究大学の変革を牽引していくという確固たる決意のもと、Impact、Talent、Changeという3つの公約を掲げています。これは同時に、これからここで学び、あるいは研究する皆さんにとって最高の舞台を用意するという、私たちからの誓いでもあります。

第一のImpactとは、未来を変革する社会価値の創造です。皆さんの日々の学びや研究が、象牙の塔に留まることなく、学術的成果を、社会に実装して、インパクトもった新たな価値となるよう導きます。

第二のTalentとは、多彩な才能を開花させ未来を拓くことです。世界中から優秀な研究者を惹きつける最高の研究環境を整え、皆さんが世界に挑戦できる学びを創造し、その才能を十二分に発揮できる環境をつくります。実際に、100年前にアインシュタイン博士を招聘しようとしたように、現在世界中から優秀な研究者が本学に集いつつあります。

そして第三のChangeとは、進化し続ける姿勢です。古い枠組みにとらわれず、大学自身が全方位で国際化を図り、機動的で責任ある経営体制のもと、常に変化と挑戦を続ける場であり続けることをお約束します。

このようにして、皆さんは今日から、真理を探究し、そしてこの世界を良くするための最前線に立つ一員となるのです。

学友会活動

このような、恵まれた優れた環境の中で、皆さんにはぜひ、これからの学生生活を大いに楽しんでいただきたいと願っています。

大学での生活は、もちろん勉強や研究がすべてではありません。本学は学友会の体育部や文化部などの活動も非常に活発です。全国七大学総合体育大会、いわゆる「七大戦」での度重なる総合優勝をはじめ、琵琶湖で行われる「鳥人間コンテスト」での人力飛行部「ウインドノウツ」の幾度もの優勝、さらには「ストリートダンスサークル・フウ」が全国大会で輝かしい成績を収めるなど、本学の学生はさまざまな分野で元気に活躍しています。多様なフィールドで熱中できる環境が、ここにはあります。そしてマスコットの「研一」も皆さんを応援しています。

萩友会と大学基金

そして、皆さんの果敢な挑戦は、在学生や保護者、卒業生、教職員などを繋ぐ全学組織である「萩友会」や、教育研究活動を支援する「東北大学基金」といった、国内外に広がる強力な東北大学コミュニティが、全力でサポートします。今日から皆さんも、この温かいコミュニティの大切な一員です。失敗を恐れず何度でも挑戦し、いつの日か皆さんが大きく成長した暁には、今度は皆さんが母校の後輩たちを支え、励ます側に回ってくれることを強く期待しています。

結びの言葉

最後に、世界では戦争や紛争が絶えず、気候変動による予期せぬ災害など、世界は今多くの課題に直面しています。皆さんは、人類の持続可能な未来に貢献するという強い心と、世界に挑戦する東北大学で学ぶことの誇りをもって、実り豊かな学生生活を送ってください。東北大学は、皆さんが目指す未来に寄り添い、すべての可能性を提供します。皆さんが一層大きく成長されることを心から期待して、私のお祝いの言葉といたします。

皆さんが、これから世界に向けて大きく羽ばたかれることを心から期待し、私の式辞といたします。

本日は、誠におめでとうございます。

2026年4月3日


東北大学総長

冨永悌二

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