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磁気ノズルプラズマ推進機の作動にプラズマ不安定性が寄与 -宇宙空間における大電力・無電極の推進機開発に新展開-

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科電気エネルギーシステム専攻 准教授 高橋和貴
研究者ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 磁気ノズルプラズマ推進機*1の作動に必要なプラズマ流離脱*2にプラズマ不安定性*3が効果的に作用することを解明
  • 宇宙空間における大電力・無電極の磁気ノズルプラズマ推進機の作動シナリオに道筋

【概要】

高周波プラズマ源と磁気ノズルによるプラズマ加速を経て宇宙空間へ燃料を噴射し推力を発生する無電極プラズマ推進機は、次世代の大電力宇宙推進機として期待されています。

東北大学大学院工学研究科および同非平衡プラズマ学際研究センタープラズマフロンティア科学部門の高橋和貴准教授(JST創発研究者)は磁気ノズルプラズマ推進機の性能向上を目指し研究を行っていますが、この度、オーストラリア国立大学のChristine Charles教授、Rod W Boswell教授との共同研究により、核融合プラズマに代表されるプラズマ利用機器においてネガティブな存在と考えられてきたプラズマ不安定性が、推進機作動の鍵となるプラズマ流離脱を促進する重要な役割を果たすことを明らかにしました。この成果は、推進機開発だけでなく、プラズマ波動研究の応用開拓と新展開に寄与するものと期待されます。

本研究成果は2022年12月5日にネイチャーパブリッシンググループの英国科学雑誌Scientific Reports(電子版)に掲載されました。今後、波動構造の詳細計測、励起条件の解明、詳細な物理プロセスの理解に向けて研究を行い、大電力・無電極の磁気ノズルプラズマ推進機開発を進める予定です。

図1: イオンの離脱と電子内向き輸送現象のイメージ図。

【用語解説】

*1磁気ノズルプラズマ推進機:宇宙空間でプラズマを加速し推力を発生する電気推進方式の一種であり、磁気ノズル中のプラズマ加速現象を活用したもの。現在主流となっているイオンエンジンやホールスラスタとは異なる動作原理であり、国内外でその学術研究と開発が進められている。

*2プラズマ流離脱:閉ループ構造を形成する磁力線からプラズマ流が離脱し、自由空間へとプラズマが噴射されること。

*3プラズマ不安定性:プラズマ中に自発的に励起される波動であり、条件によって多種多様な波動モードが存在し、各種物理量(密度、電位、電磁場等)に時間的な変動が観測される。非線形効果による粒子輸送の駆動を誘起し、乱流構造へ発展する場合もある。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学 大学院工学研究科 准教授/JST創発研究者 高橋 和貴
TEL: 022-795-7064
E-mail: kazunori.takahashi.e8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学 大学院工学研究科 情報広報室 担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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