2026年 | プレスリリース・研究成果
従来困難だったコンクリート内部の3D可視化に成功 ― 周波数自動可変型超音波技術で老朽化インフラ点検に革新 ―
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科材料システム工学専攻 教授 小原良和
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- コンクリートの内部欠陥を3次元で映像化できる超音波(注1)計測技術の新方式を開発しました。
- 既報の3次元超音波映像法PLUS(注2)(以下、PLUS)技術をさらに発展させ、検査対象に応じて最適周波数を自動で選択できる新システムを実現しました。
- 本成果は、トンネル、橋梁、高速道路などの老朽化が進むコンクリートインフラの安全性・信頼性の評価・向上に貢献します。
【概要】
構造物内部の欠陥を非破壊で評価する技術は、老朽化が進むインフラの維持管理に不可欠です。内部欠陥の検査には超音波が広く用いられ、近年は医療分野で開発された超音波フェーズドアレイ(注3)の工業利用も進んでいます。しかし、コンクリートは超音波の減衰が極めて大きく、既存の超音波フェーズドアレイ装置では内部を計測できないという課題がありました。
東北大学大学院工学研究科の小原良和教授、藤川裕翔大学院生らの研究グループは、米国ロスアラモス国立研究所との国際共同研究により、これまで開発してきた圧電探触子送信(注4)とレーザ受信による超多素子2次元マトリクスアレイ(注5)を組み合わせたPLUSを発展させ、検査対象に応じて最適周波数を自動で選択する広帯域送受信システムを融合した「周波数自動可変型PLUS」を開発しました。その結果、多様なコンクリート内部の欠陥を3次元で可視化することに成功しました(図1)。本成果は、老朽化コンクリートインフラの危険箇所の特定に大きく貢献する技術です。
本研究成果は1月27日(米国時間)に、応用物理学分野の学術誌Applied Physics Lettersに掲載されました。また、Featured Articleに選ばれました。
図1.老朽化コンクリートインフラ(トンネル、橋梁、高速道路など)で問題となる内部欠陥(剥離)を本研究で開発した3次元超音波映像法PLUS(左)で映像化した結果(右)
【用語解説】
注1. 超音波
人の耳では聞こえない高い周波数(20 kHz以上)の音。周波数が高いほど直進性に優れるが、減衰の影響も大きくなる。金属材料ではMHz領域(106 Hzオーダー)の周波数が利用される。
注2. 3次元超音波映像法PLUS
Piezoelectric and Laser Ultrasonic System。
圧電探触子による超音波送信と、レーザドップラ振動計による非接触・多点受信を組み合わせた、研究グループ独自の3次元超音波映像法。
本研究グループは既報として以下の成果を発表している。
・2020年9月23日プレスリリース「材料内部の欠陥を3次元で可視化できる高分解能超音波映像法を開発」
・2022年5月26日プレスリリース「安全・安心な社会のための超音波検査のき裂測定精度向上に新指針」
注3. 超音波フェーズドアレイ
複数の素子を持つアレイ型超音波センサとその制御器を組み合わせ、電子スキャンにより内部を映像化する技術。医療分野で開発され、近年では工業分野への普及も進みつつある。
注4. 圧電探触子送信
電圧をかけると、伸び縮みする圧電材料から構成される超音波センサ。圧電材料に高周波の電圧信号を加えることで、超音波を送信できる。
注5.2次元マトリクスアレイ
正方形の圧電素子を2次元的に並べた複数素子を持つ超音波センサ。
【論文情報】
タイトル:Auto-frequency-adaptive 3D ultrasonic phased-array imaging system for highly attenuative materials
著者:Yuto Fujikawa, Yoshikazu Ohara, and Timothy J. Ulrich
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 教授 小原 良和
掲載誌:Applied Physics Letters
DOI:10.1063/5.0291949
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科材料システム工学専攻
教授 小原 良和
TEL: 022-795-7358
Email: y-ohara*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科・工学部 情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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