TOHOKU UNIVERSITY

The
Romance
of
Research
Masaomi
Tanaka

田中 雅臣

東北大学大学院
理学研究科 天文学専攻 教授

専門分野:天文学

研究テーマ:マルチメッセンジャー天文学、
超新星爆発、中性子星合体

星に生きる

星が爆発するという想像をはるかに超えた現象に強い衝撃を受けました。
そこから一気にのめり込んでいきました。

ご自身の研究について
簡単にお聞かせください。

私は天文学、つまり「宇宙で何が起こっているのか」を理解するための学問を研究しています。中でも特に関心を持っているのが、星が爆発する現象です。夜空の星はいつも変わらず輝いているように見えますが、その一部は一生の終わりに大爆発を起こすことが知られています。これを「超新星爆発」と呼びます。

星の爆発そのものも非常にダイナミックで興味深い現象ですが、私が超新星を研究している一番の理由は、私たちの身の回りにある元素がどこから来たのかを知りたいからです。

私たちは日常生活の中で、さまざまな元素に囲まれて暮らしています。今この瞬間も、窒素や酸素を吸い込んでいますし、この建物は鉄を使ってでできています。しかし、こうした元素は宇宙の始まりには存在していませんでした。元素は星の内部で作られ、星が爆発するときに宇宙空間へと放出され、その積み重ねの結果、現在の宇宙、そして私たちの地球が形作られているのです。

子供の頃から
宇宙や天体に興味があったのですか?

いいえ、それほどありませんでした。若い頃はロック音楽やギター演奏に夢中で、野球などのスポーツにも打ち込んでいました。望遠鏡を持っていたわけでもなく、将来、科学に人生を捧げることになるとは想像もしていませんでした。

ただ、名古屋近郊の自然の多い場所で育ったため、外で過ごす時間は長かったですね。振り返ってみると、気づかないうちに夜空に輝く星々が自分のそばにあったのだと思います。

どのようにして
天文学の道に進むことを決めましたか?

大学に入学した当初は、宇宙工学を専攻するつもりでした。ただ、さまざまな講義を受けるうちに、自分が本当に惹かれているのは工学ではなく、宇宙そのものの深遠な謎だと気づき、天文学の道を選びました。

超新星爆発や元素の起源について初めて知ったとき、星が爆発するという事実そのものが想像をはるかに超えていて、強い衝撃を受けました。そこから一気に研究にのめり込んでいきました

一般の人が驚くような、
宇宙の話を教えてください。

地球には金やプラチナといった高価な金属がありますが、実は、それらの元素がどこで作られたのかはよく分かっていません。この謎こそが、私が解き明かそうとしているテーマです。つまり、「宇宙のどこで、どのような現象が起こり、どのような元素が生み出されてきたのか」という問いです。

このような重元素は、「中性子星」と呼ばれる星同士が衝突することで作られた可能性があると考えられています。この激しい衝突によって大量の元素が宇宙空間に放出され、それが長い時間をかけて混ざり合い、やがて太陽や地球が形成された、ということです。私は、その合成現場を明らかにすることに最も関心を持っています。

Untitled (A Researcher in Sendai #1033), 2025. ©︎ Gottingham.
Image courtesy of Tohoku University and Studio Xxingham
Untitled (A Researcher in Sendai #1043), 2025. ©︎ Gottingham.
Image courtesy of Tohoku University and Studio Xxingham

星はどれくらいの頻度で爆発するのですか?

私たちの太陽系は非常に多くの星が集まった「銀河」の中にあります。そして、宇宙には無数の銀河が存在しています。その一つ一つの銀河では、およそ100年に一度の割合で超新星爆発が起こると考えられています。

現代の望遠鏡は非常に高性能で、多くの銀河を同時に観測できます。そのため、現在では毎年およそ3,000個もの超新星爆発が観測されています。

一般の人でも
自宅から星の爆発を見ることはできますか?

はい、実は多くのアマチュア天文学者が超新星爆発(Supernova、スーパーノヴァ)の発見に貢献しています。「ノヴァ」は「新しい星」を意味し、超新星は空に突然現れた新しい星のように見えます。

私たちは望遠鏡を使って夜空を継続的に観測し、大量の画像を撮影して、前の日や前の週にはなかった天体を探しています。原理的には肉眼でも見ることは可能ですが、肉眼で確認できるほど明るい超新星は、非常にまれです。

星は仕事の対象ですが、
それでも魅了されますか?

はい、もちろんです。星は単なる研究対象ではなく、私にとっては人生の一部です。夜空に星を見ると、自然と天文学のことを考えさせられます。

普段はどのようにリラックスしていますか?

研究のことを忘れようとはしていますが、正直なところ、なかなか難しいですね。気分転換のために体を動かそうと思い、毎週末ジムに行って走っています。ただ実際には、ほとんどいつも研究のことを考えている気がします。

名古屋のご出身ですが、
どのようにして仙台に来られたのですか?

最初は東京に行き、東京大学で博士号を取得しました。その後、国立天文台で研究を行っていました。2018年に東北大学から声をかけていただいた際、学生と一緒に研究できる環境に大きな魅力を感じ、仙台に来ることを決めました。国立天文台では研究者同士で議論する日々でしたが、現在は学生と共に研究を進める時間が多く、とても充実しています。

東北大学は天文学を学ぶのに良い場所ですか?

もちろんです。ここには、それぞれの分野で優れた研究を行っている教員が集まり、非常に強力な研究グループが形成されています。私は爆発する星を研究していますが、他にも惑星形成や銀河進化など、幅広いテーマに取り組む研究者がいます。研究対象のスケールや手法はさまざまで、その多様性が大きな刺激になっています。何気ない会話から新しいアイデアが生まれることも少なくありません。

写真:すばる望遠鏡の広視野カメラによる天体画像。遠い宇宙で発生する星の爆発(超新星爆発など)を捜索する目的で収集されたもの。

Masaomi Tanaka
田中 雅臣

田中雅臣教授は天文学者で、超新星爆発や中性子星合体といった宇宙の爆発現象を研究しています。望遠鏡による観測とコンピューターシミュレーションを組み合わせ、これらの現象に潜む物理過程を解明してきました。
近年は中性子星合体に注目し、観測データから重元素の起源を探る研究を進めています。2017年には、史上初めて観測された中性子星合体の解釈において重要な役割を果たし、これらの現象が金やプラチナといった重元素を生み出すことを明らかにしました。
重元素の起源に関する一連の研究により、2019年には科学技術分野における文部科学大臣表彰を受賞。アウトリーチ活動にも積極的に取り組んでおり、超新星爆発(2015年)やマルチメッセンジャー天文学(2023年)に関する一般向け書籍も執筆しています。

Text: Melissa Heng
Translation: Waka Kuchimachi
The
Romance
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Research