著名な法文学部出身者

著名な法文学部出身者には
どのような人がいるのか、
経歴とともに紹介します。

高橋ふみ

TAKAHASHI FUMI

哲学者
新聞記者

1901生-1945没
 / 1929年法文学部哲学科卒業

石川県生まれ。東京女子大から東北帝国大学に進み、卒業後、自由学園等を経てドイツに留学、ベルリン大学およびフライブルク大学にて哲学を学ぶ。留学中の1936年、ベルリンオリンピックが開催され、共同通信特派員として、ベルリンオリンピックの記事を送る。M.ハイデッガーのゼミに出席したり、叔父西田幾太郎の『哲学の根本問題 続編』の一部を独訳して刊行するが、結核と折からの第二次世界大戦激化のため帰国する。その後、母校東京女子大講師となるが、1945年43際の若さで早世した。哲学者西田幾太郎の姪。

河野多麻(中村多麻)

KOUNO TAMA
(NAKAMURA TAMA)

国文学者
実践女子専門学校教授

1895年生-1985年没
 / 1931年法文学部国語学科卒業

静岡県浜松市生まれ。旧姓中村。1913年静岡女子師範学校卒、小学校教諭を一年勤めたのち、東京女子高等師範学校に入り、1918年卒業、川越高等女学校教諭、1920年から1923年まで東京帝国大学で初の女子聴講生となり国文学を学び、実践女学校専門部国文科教師、1928年東北帝国大学法文学部に入学、当時助教授であった河野与一と知り合うことになる。1931年卒業し実践女子専門学校講師。1937年教授となり、河野との結婚を公表する。1943年辞職し、1944年河野のいる宮城県築館町に疎開、戦後1950年に与一が岩波書店顧問となり上京、1962年『宇津保物語』全三巻を岩波古典文学大系として刊行する。1974年「宇津保物語傳本の研究」で東北大学文学博士。与一が死去した半年後、自らの失火による火事で死去した。

青山なを(三浦なを)

AOYAMA NAO
(MIURA NAO)

女性史研究の開拓者
東京女子大教授

1900生-1985没
 / 1932年法文学部法科卒業

東京市本所生れ。東京女子高等師範学校付属高等女子学校から東京女子大学を経て1928年東北帝国大学法文学部に入学、卒業後大学院に進み日本女性精神史を専攻した。安井てつの斡旋で東京女子大学講師をつとめ、『源氏物語』などの古典文学における女性観を研究。その後夫の転勤に伴い職を辞すが、戦後復職。近代女子教育の研究を進め、『明六雑誌』や『女学雑誌』の女性観の研究を発表し1925年東京女子大教授となる。1970年「明治女学校の研究」により博士号を取得。没後、女性史研究のすぐれた業績に対して贈呈される賞として「青山なを賞」が設けられている。

有賀美智子(赤羽美智子)

ARIGA MICHIKO
(AKABANE MICHIKO)

女性初の公正取引委員

1907生-1999没
 / 1932年法文学部法科卒業

東京出身。1928年日本女子大学校英文学科を卒業し東北帝国大学法文学部法科に進学。卒業後副手・助手を務める。結婚により家庭に入るが、夫の戦死を経て戦後1946年大蔵省嘱託となり、翌年公正取引委員会事務局に異動、同事務局参事官を経て1967年、女性として初の公正取引委員会委員に就任、独禁法の運用に手腕を振るい、国際会議などにも幅広く活躍した。1972年退官後は発明協会工業所有権研修センター講師、国際独禁法・工業所有権法研究会代表、国民生活センター会長に就任。いわゆる詐欺商法の苦情処理に当たるなど消費者行政に大きな足跡を残した。

青木生子

AOKI TAKAKO

国文学者
日本女子大学学長・理事長

1920生-2018没
 / 1944年法文学部国文学科卒業

東京出身。日本女子大学校に進学した後、東北帝国大学法文学部国文科教授の岡崎義恵『日本文芸学』を読み、東北帝国大学へ進学を決意し入学、1944年の繰り上げ卒業後、日本女子大学で教鞭を執る。万葉集や紫式部を専門とし、1962年、「日本古代文芸における恋愛」で東北大学より文学博士の学位を取得。1981年から12年にわたって日本女子大学学長・理事長を務めた。2007年の東北大学100百周年に際し、「東北大学100周年記念文化貢献賞(教育部門)」を受賞した。

原田夏子(古田夏子)

HARADA NATSUKO
(FURUTA NATSUKO)

国文学者
詩人

1921生-2022没
 / 1946年法文学部国文学科卒業

山梨県甲府生れ。1942年に日本女子大学校卒業後、1943年東北帝国大学法文学部に入学。1946年に卒業。1957年東北大学大学院(旧制)5年修了。日本女子大学専任講師、塩釜女子高校、宮城県第一女子高校教諭、共栄学園短大教授を歴任。詩人としても活躍し、学生時代から「真人」入社し細井魚袋に師事。「真人」廃絶ののち「彩光」に参加、多数の著作を残し、100歳を超えても精力的に執筆活動をおこなった。2013年には宮城県教育文化功労賞を受賞。

文責:東北大学史料館 加藤諭准教授
参考:東北大学史料館2013年企画展示
「女子学生の誕生-100年前の挑戦」