第7章
「門戸開放」先人に倣い、
未来を開く

100年、それからまた10年
―「女子学生」誕生から
110周年

2023年は、東北大学が女性を正規の大学生として受け入れてから110周年。さらに東北大学文系女子大生誕生からもちょうど100周年となります。「女子大生誕生110周年、文系女子学生100周年」を記念し、更なるダイバーシティ(多様性)推進および女子同窓会の発足などに向けて動いています。

本章では、2013年の「東北大学 女子学生入学百周年記念事業」を振り返り、そこから10年、何がどのように進んできたかを紹介します。

女子学生誕生100周年を
振り返る

2013年、東北大学は「女子学生」誕生100周年を祝う記念事業を全学をあげて開催しました。2013年5月30日、ノルウェー王国教育・研究副大臣ラグンヒル・セッツオース氏を招き「未来をつくる学生たちへ〜ノルウェーからのメッセージ」というトークイベントを皮切りに、6月には百周年記念ロゴの制作、7月から8月にかけて女子学生入学百周年ブックフェアとサイエンス・エンジェル特別展を附属図書館で開催しました。そして8月8日にはプレイベント「サイエンス・エンジェルプレゼンツ 夢―そして100年後の未来―」と記念シンポジウム「リケジョの100年から未来の女性リーダー育成に向けて」を開催しました。以下、一部だけ当時の様子を紹介します。より詳細な記録は以下をご覧ください。

東北大学
女子学生入学百周年記念事業

プレイベント
「サイエンス・エンジェルプレゼンツ

―そして100年後の未来―」

サイエンス・エンジェルたちが女子高校生を対象に未来を考えるワークショップ「サイエンス・エンジェルプレゼンツ 夢―そして100年後の未来―」を実施しました。前半は二人のサイエンス・エンジェルによる公演、後半は寿命、食物、医療、環境・材料のグループに分かれ、未来に向けた自由な発想での討論会が行われました。「髪の毛が緑色になり、光合成をすることで地球温暖化を防ぐ」、「廃棄不要な土に還る服をつくる」「通勤時に持ち運びのできるプランターで自給自足」などと新鮮で斬新なアイディアが話されました。近い将来、彼女たちが語った未来が実現できるかも知れませんね。今話題になっているジェンダード・イノベーションは、すでに10年前のサイエンス・エンジェルたちの企画に導入されていたのでした。

記念シンポジウム
「リケジョの100年から
未来の女性リーダー育成に向けて」

メインイベントのシンポジウムでは、辻村みよ子氏(現名誉教授)によって「東北大学の男女共同参画の歴史と女性リーダーからの提言」が紹介され、海外と国内の女性リーダーによる基調講演、そして、初のアジア人女性宇宙飛行士の向井千秋さんの夫である向井万起男氏による「男性から女性リーダーへの応援メッセージ」に続き、「リケジョの未来とダイバーシティを考える」パネル・ディスカッションが行われました。

プレイベントの様子

プレイベント
「サイエンス・エンジェルプレゼンツ 夢
―そして100年後の未来―」

記念シンポジウムの様子

記念シンポジウム
「リケジョの100年から
未来の女性リーダー育成に向けて」

記念シンポジウム企画詳細

東北文化研究室公開講演会
「歴史のなかの東北大学と社会
-「門戸開放」と女子学生-」

文系でも100周年を祝い、特別シンポジウムを開催しました。史料館の永田英明准教授(当時)は、初の女性学生の受け入れの当時の意味やそれ以降仙台が女性たちにとって、東京・関西の女子高等教育機関を卒えたあとに向かう「学都」であったことを紹介しました。また、文学研究科柳原敏昭教授は、1933年に全国の大学で起きた学生運動の中で、女子学生運動の事始は、東北大学だったことを史料から明らかにし、当時から社会を鋭く見つめ、行動する女子学生がいたことを提示しました。当時の講演要旨は、『東北文化研究室紀要』通巻第55集に掲載されています。

東北文化研究室公開講演会の様子

東北文化研究室公開講演会
「歴史のなかの東北大学と社会
-「門戸開放」と女子学生-」

+10年の前進

100周年から+10年。
本学のダイバーシティへの対応は
着実に充実化を図っています。
ここでは、最近の話題となる実績を紹介します。

女性研究者比率のアップ

1993年の女性教員の比率はわずか4.8%。それが「女子学生誕生100周年」の2013年12.6%となり、2022年には19.7%となりました(いずれも助教・助手・クロアポ等を含む)。学士における女性比率は、1993年14.5%から2013年には25.1%、そして2022年は26.3%と緩やかではありますが、着実に伸びています。

女性研究者比率の推移

多様な性に関する
ガイドラインを制定

近年、多様な性に関する認識が広がり、社会や組織の中で適正な対応が求められています。本学でも学生および教職員が学業・研究・職務の遂行において、多様な性を尊重する環境を実現することを目的として「東北大学-みんなが主役-多様な性に関するガイドライン」を制定しました。本ガイドラインでは、現状本学で対応できる体制の状況を提示するとともに、まだ不十分な問題や課題については、共に対応策や解決策を探り、よりよい環境の実現に向け努力することを明記しています。

東北大学-みんなが主役-
多様な性に関するガイドライン

文責:東北大学男女共同参画推進センター