工学研究科
新任女性教授のご紹介

工学研究科では、2022年4月より、「工学研究科DEI(Diversity, Equity, and Inclusion)推進プロジェクト」を開始しました。性別・国籍・職位等によらない働きやすく学びやすい環境を醸成し、一人一人が存分に能力を発揮することで、研究力のさらなる強化とイノベーションの創出を目指します。この春、工学研究科に3人の女性教授が着任いたしました。彼女たちのメッセージを、ぜひご一読ください。

小野円佳

MADOKA ONO

工学研究科
応用物理学専攻 教授

〇略歴

東京都出身。都立八王子東高校、東京大学工学部物理工学科を経て、2004年に同大学院新領域創成科学研究科物質系専攻で博士(科学)を取得。旭硝子株式会社(現AGC株式会社)に就職し、2019年より北海道大学電子科学研究所准教授を併任。2023年4月より現職。専門は光物性物理学、ガラス。令和4年度の学習資料「一家に1枚」ガラスを企画制作。2022年に第12回小舘香椎子賞を受賞。趣味は家族と城めぐり。

Q1. 研究紹介

新しい光機能材料の創生と設計を目指しています。ガラスなどの構造がランダムな物質でもそのゆらぎを制御することで、光などのエネルギーの伝搬しやすさを変えることができます。

Q2. 着任への想い

これまで会社勤務で、小学生の子供がいることもあり、生活の変化に対応できるか不安が大きいですが、この機会は研究に専念できる貴重な時でもあると考えています。研究と教育を楽しみたいと思います。

Q3. 休日の過ごし方

自宅に戻り家族と過ごします。家の掃除と翌週の準備に大忙しで、前週の話を誰が何から話すのか大騒ぎになりますが、一緒の時間を今まで以上に大切に過ごしています。

徐超男

XU Chao-Nan

工学研究科
材料システム工学専攻 教授

〇略歴

中国東北の瀋陽市生まれ、故郷は青島市。蘭州大学付属高校(蘭州)、西安交通大学電子工学科、電子工業省(北京)12研究所修士課程修了。その後、日本に渡り、1991年3月 九州大学博士課程修了(工学博士)。同年福岡大学助手、1998年 工業技術院(現産業技術総合研究所)九州工業技術研究所主任研究官、産業技術総合研究所研究チーム長、総括研究主幹等を経て、2023年4月より現職。九州大学教授兼任。専門は機能材料と応用。科学技術庁長官賞(注目発明)、文部科学大臣賞、日本セラミックス協会学術賞等を受賞。趣味は研究室等見学、料理、ヨガ。

Q1. 研究紹介

応力発光と圧電のマルチピエゾ多元変換機能材料およびそれらを活用した応用システムの研究開発を行っています。新研究分野「多元変換機能システム学」を目指しています。

Q2. 着任への想い

魚が水を得た思いです。「研究第一主義」「門戸開放」「実学尊重」を肝に、新たな学問領域を挑み、社会に役立つ技術を創出していきたいです。またDEIを推進し性別・国籍・職位によらない、夢と活気溢れる社会を目指したいと思います。

Q3. 休日の過ごし方

休日には、美味しい料理を作って食べたり、映画を観たりしています。時には仲間と旅行し、歌も歌います。ヨガをよくしています。

窪田亜矢

AYA KUBOTA

工学研究科
都市・建築学専攻 教授

〇略歴

東京生まれ。東京大学工学部都市工学科、同大学院修士課程修了、株式会社アルテップにて都市設計業務に従事したのち、コロンビア大学大学院歴史的環境保全専攻修士課程、東京大学大学院博士課程を修了、博士(工学)。東京大学助手、工学院大学講師・准教授、東京大学准教授(都市デザイン研究室)・特任教授(地域デザイン研究室)等を経て、2023年4月より現職。早稲田大学大学院社会科学研究科にて非常勤講師も継続中。

Q1. 研究紹介

「かけがえのない日々の暮らし」が展開している地域を支えるデザインを追究しています。現場すなわち今・此処の時空間に身を置くことを根幹とする実践的研究です。

Q2. 着任への想い

東日本大震災は、都市・建築学という専門分野の再構築を迫られる歴史的な出来事です。被災地域に携わる中で学んできたこと・学ぶべきことを日常とつなげて、今とは異なる日常をもたらす研究にたどり着きたいです。

Q3. 休日の過ごし方

近くの公営テニスコートで時々家族とテニスをします。最近は子供達がつきあってくれないので、夫と二人で美術館に行っていますが、それも楽しいです。

東北大学工学研究科DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進プロジェクト

文責:東北大学工学研究科DEI
(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)
推進プロジェクト室

東北大学
国際法政策センター
(Center for International Law and Policy)
の開設

国際法政策センターの概要

大野総長と植木理事・副学長/東北大学国際法政策センター長

大野総長と植木理事・副学長/
東北大学国際法政策センター長

1907年の創設以来、東北大学は、国内有数の総合研究大学として社会課題解決と価値創造を先導してまいりました。人文社会科学分野での貢献の一例として、特に国際法の分野が挙げられます。2022年に法文学部設置から100周年を迎えた今日までに、3つの主要国際司法機関(国際司法裁判所(ICJ)、国際海洋法裁判所(ITLOS)、国際刑事裁判所(ICC))の判事を東北大学から輩出してきました。

こうした歴史と実績を背景に、2023年4月1日、東北大学は、その「総合知」をもって人類が直面する課題解決に貢献することを研究大学の責務と考え、「東北大学国際法政策センター(Center for International Law and Policy) 」を開設いたしました。

本センターでは、国際法・国際政策を切り口に、国内外の有識者を招いてのシンポジウムやカンファレンスを通じて専門的知見を社会に広く発信し対話を促すとともに、国際司法機関による国際紛争の平和的解決や、国連やWHO(世界保健機関)等の専門機関における国際ルールの策定に際し、日本がどのように貢献すべきかといった政策提言などを行います。

「日本初・
女子大生誕生の地」での
国際法政策センター
の使命

第二次世界大戦は、深刻で、かつ大規模な、未曾有の人権侵害を引き起こしました。その反省を踏まえ、戦後の国際社会では、普遍的価値としての人権を保障するために様々な取り組みが進められてきました。このような取り組みの中で、男女共同参画社会の実現や、性的指向と性同一性を理由とする差別や暴力の撤廃は、今日も重要な課題であり続けています。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」でも、「ジェンダー平等(ゴール5)」の実現および「不平等をなくす(ゴール10)」ことを掲げています。

これらの取り組みの土台をなすのが、国際法です。第二次大戦以降、国際人権規約や女子差別撤廃条約などの様々な法的な文書を通じて、人権保障のための具体的な仕組みが作られ、国際人権法と呼ばれる学術分野もめざましく発展してきました。

東北大学は、日本で初めて女子大学生に門戸を開いた黎明期から、多様性に富んだ環境や意識を育んできました。男女共同参画への取り組みやDEI推進などの学内施策にとどまらず、学術面でも、21世紀COEプログラム「男女共同参画社会の法と政策」、グローバルCOEプログラム「グローバル時代の男女共同参画と多文化共生」などを通じ、ジェンダー平等や共生社会の実現といった重要課題について、研究成果を世界に発信してきました。

こうした分野における実践と研究の蓄積を有する東北大学に置かれた拠点として、国際法政策センターは、国際法の専門知の探究と社会との対話の促進により、人権が尊重される社会、そしてそのための望ましいルールや制度の形成と発展に貢献してまいります。

文責:東北大学国際法政策センター