第11章
工学系の女子学生・女性研究者の
“夢の実現を応援”
工学系女性研究者
育成支援推進室

工学系女性研究者
育成支援推進室(ALicE)アリス
設立の経緯と活動内容

工学系女性研究者育成支援推進室(Association of Leading Women Researchers in Engineering, Tohoku University:ALicE)は2013年度に設立し、2023年度で10年になりました。東北大学の自然科学系の女性研究者への支援はハードリング支援事業をベースに2006年から始まり、その後2009年~2013年までに理学・工学・農学系の女性教員の採用を加速する「ジャンプアップ事業for2013」が行われました。工学系でも多くの若手女性教員が採用されましたが、結果として定着は困難となりました。これは、採用された教員が出産や育児の時期と重なり研究との両立が困難であったり、単身赴任により離職して夫の方へ異動したり、また夫と共に関東や関西などの共に働ける地へ異動してしまうなどが原因でした。

ALicEのキャラクター 「ずんだぬき」

ALicEのキャラクター
「ずんだぬき」

工学系の女性が安心して
キャリアの継続ができるように

研究機関において、女性が仕事と生活の調和を実現し、子育て中でも充実した研究生活をおくる雇用環境を構築するための取り組み状況を評価できる「お茶大インデックス」というものがあります。工学研究科ではこれを用いて工学研究科の環境についてチェックをし、女子学生の卒業後の活躍状況について調査しました。しかし、卒業した女子学生が「どこで」「どのように活躍しているか」を追うことが非常に難しいことが分かりました。工学系では女性が安心してキャリアを継続できるという社会になっていないことを認識し、こうした課題解決のためにALicEを立ち上げることになりました。

平成28年度女性のチャレンジ賞(内閣府)受賞

平成28年度
女性のチャレンジ賞(内閣府)受賞

工学の魅力を
より多くの女子学生に

工学の分野は、人々の“生活の礎”であり、当たり前の日常を送る上で私たちはその恩恵を受けています。しかし工学系の女性研究者の数は少なく、工学の魅力が女子学生には伝わりにくいことも課題となっていました。
 こうした状況を解決したいと取り組んだのが、工学の魅力の発信や女性研究者の“見える化”です。中でも、オープンキャンパスの特別企画として工学研究科等男女共同参画委員会が開催している「女子中高生のためのミニフォーラム『工学にかける私の夢』」のサポートを、設立時から現在まで継続して行っています。2023年のミニフォーラムには、2日間で約450名が参加し、過去最高の参加者数を記録しました。また、ALicE設立当初からニュースレターを、全国の女子校などに配布しています。その他、入試説明会や出張講義、研究室見学などにも積極的に取り組んでいます。2024年度のAO入試では女子学生の応募者数、合格者数ともに過去最多となりました。

活動の様子
活動の様子

両立支援と研究支援

ALicEの支援活動は、全学の活動を基に設計しました。全学の支援では足りない部分や対象から漏れてしまう部分なども積極的にカバーしています。ワークライフバランスとの両立支援の取り組みとして、男女に関わらず研究者に広く支援要員を派遣しています。特に多くの方に対して支援が行えるように、同一の事務補佐員が、週に数日間あるいは半日などの単位で各先生の下で事務作業の補佐などを行っています。また、若手の女性研究者や女子学生の研究支援を行う「STEP-ALICEプログラム」では、学会での発表などに限定せず、国内外での共同研究打ち合わせなどでも利用できるようにし、女性研究者の活躍の促進を狙っています。

活動の様子
活動の様子

安心して“学び働ける”
環境の整備

2015年、研修などで利用される青葉記念会館の改修に伴い、トイレやシャワーなどが利用できる男性・女性用の静養室と託児ルームの整備を提案しました。また、工学研究科の施設管理室にも協力いただき、託児ルーム「ずんだぬきっずるーむ」を作りました。この託児ルームは、スペースのみの提供ですが、学会での利用も可能としており、余裕がある時には工学系だけでなく、学内の他の所属の方にも利用いただけます。

託児室 ずんだぬきっずるーむ

託児室 ずんだぬきっずるーむ

女性静養室

女性静養室

工学研究科「DEI推進プロジェクト」
などの取り組みとともに

2022年、東北大学はDEI推進宣言を発出しました。それに伴い工学研究科では、湯上浩雄研究科長(当時)と北川尚美研究科長補佐が中心となって「工学研究科DEI推進プロジェクト」を立ち上げ、工学研究科で4人の女性教授が採用されました。女子学生にとって身近なロールモデルが増え、ますます工学系に興味を持つことを期待しています。工学研究科DEI推進プロジェクトなどの取り組みとともに、引き続き工学系の女性研究者の活躍を後押ししていきます。

平成28年度女性のチャレンジ賞(内閣府)受賞

文責:工学系女性研究者育成支援推進室

※工学系
工学研究科、情報科学研究科、環境科学研究科、医工学研究科、災害科学国際研究所、未来技術共同研究センター、国際集積エレクトロニクス開発センター、環境保全センターの総称。

※東北大学DEI推進宣言
多様性と公平性を包摂する教育・研究・就労環境の実現のために行った宣言。

関連リンク

東北大学工学系女性研究者育成支援推進室(ALicE) Women with Sparkle!工学系で輝く女性研究者たちのインタビュー集 東北大×工学×女性×キャリア「未来への挑戦W」東北大学工学部入試広報企画室 制作 東北大学工学研究科DEI推進プロジェクト 東北大学大学院情報科学研究科男女共同参画推進WG 東北大学機械系「きらめくメカジョ!」